読書レビュー
先日「詩のこころを読む」という本を読んで茨木のり子についてもっと知りたくなり、図書館で2冊借りてみた。 貸出期間の2週間をたっぷり使って、家のことをしている合間に読んでは考えていた。自分の柱について。この人の柱は強そうにみえて、きっとそんな…
友人が言った「自分のために描いている」という言葉に心動かされ、わたしが書きはじめたのが詩だ。 創作ってなんとなくエンタメ感が強いと思っていて、誰かに何かを届けるためにっていうのが根底としてあった。でも友人は描いた絵を「自分のために描いていて…
ケイトリン・ドーティ著「煙が目にしみる」を読んだ。ネトフリアニメ「ミッドナイト・ゴスペル」の世界にのめり込み、物語に出てくる人の本を読んでみたのだった。 煙が目にしみる : 火葬場が教えてくれたこと 作者:ケイトリン・ドーティ 国書刊行会 Amazon …
用事があり先日、東北新幹線に乗った。車内のお楽しみはフリーペーパーの「トランヴェール」だ。 席に着くと前のポケットに入ってるやつ。 以前は沢木耕太郎が「旅のつばくろ」というエッセイを寄せていた。いまは、「旅のまにまに」というものを柚月裕子が…
キャンバれ!郎太桃の3話を読んだ。コロコロコミックのオンラインでだけ連載していると思ったら、本誌でも掲載されているらしいことをSNSで知った。わたしは引き続きオンラインで読んだ。 今回は大して感想というのはなくて、ていうか3話読も〜と思って検索…
深い話は浅く、浅い話は深くする。これが憧れるかっこいい姿だ。 リリーフランキーとみうらじゅんの対談集「どうやらオレたち、いずれ死ぬっつ―じゃないですか」を再読した。 「人生」「人間関係」「仕事」「生と死」という重たいテーマについて、居酒屋で2…
「下北沢について」を再読した。 著者のよしもとばななが住んでいる東京・下北沢について、たっぷり語ってくれるエッセイだ。もともとはエッセイ2つ+裏話が入った小冊子で、それがいくつか合わさって書式化されたものらしい。 下北沢について (幻冬舎文庫)…
トマス・M・ディッシュの「いさましいちびのトースター」を読んだ。 本作は、ローカス賞・英国SF協会賞・日本では星雲賞海外短編賞を受賞した、すごい子供向け作品。著者の他の作品を読んだことがないのだけど、SFやミステリーなどでかなり有名な人らしい。…
村上春樹著「ふわふわ」を再読した。著者が幼少期を共に過ごした猫、「だんつう」との思い出を描いた作品。 挿絵は安西水丸。この人の絵が好きなので手に取った。 ふわふわ (講談社文庫 む 6-21) 作者:村上 春樹,安西 水丸 講談社 Amazon 「だんつう」とは中…
春から知り合いの店のフリーペーパーを作らせてもらっている。テンプレ7割、自力3割という感じなんだけど、つくるたび「無力…力不足だーーーっっ」と心の叫びがとまらない。 デザイン本とか読んでわかった気になって、結局全然わかってないじゃん。そんなこ…
今日はもう一度「書いて生きていく プロ文章論」の話をする。前回はちょっと持論を展開しすぎたので、今回は純粋に本の中身を話していこうと思う。 書いて生きていく プロ文章論 作者:上阪 徹 ミシマ社 Amazon この本はざっくりいえば「使う本」で、「書くっ…
好きが過ぎると、うまく書けない。最近の「ミッドナイトゴスペル」の2記事がそうだ。もーー、この作品がたまんなくて。わたしが欲しいものが、めちゃくちゃわかりにくく詰まった作品だ。 順序立てて話したいのに、気持ちが前に行き過ぎちゃって感情の部分ば…
ユーモア【humor】 …人の心を和ませるようなおかしみ。上品で、笑いを誘うしゃれ。諧謔 (かいぎゃく) 。類語…機知(きち) 頓知(とんち) 機転(きてん) ウイット エスプリ(goo辞書より引用) 今わたしが一番欲しいもの、それはユーモアだ。これさえあれば、しん…
今日は十数年ぶりに再読した、平安寿子著「セ・シ・ボン」の話をしていく。この作品は、著者が20代の時にした留学にまつわるエッセイだ。 セ・シ・ボン (ちくま文庫) 作者:平安寿子 筑摩書房 Amazon 表題でもあるセシボンという単語は、フランス語で「素敵」…
高速バスや電車など、移動中に読むフリーペーパーが好きだ。特に旅と一緒に読んだものは、不思議なほど胸に染み入る。 旅のつばくろ (新潮文庫 さ 7-58) 作者:沢木 耕太郎 新潮社 Amazon 今日紹介する「旅のつばくろ」は、作家の沢木耕太郎が、東北新幹線の…
ずっと家にある本だけど、わたしは買った記憶がない。家族に聞いても買っていないという。わたしの本棚にはたまにそういうことがある。 あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫) 作者:山田ズーニー 筑摩書房 Amazon 山田ズーニー著『あなたの話はなぜ…
コロコロオンラインで連載している「キャンばれ!朗太桃」の第2話を読んだ。 このマンガは「AC部×Canva×コロコロコミック」が異色コラボしている作品で、毎月15日更新みたいだ。わたしはとても楽しみに待っていた。 支離滅裂を繰り返して無理やり結末に向か…
今日も宝石の国の話。最も思い入れがある、ダイヤモンドの話をしていく。 目の前にいる「最強」のそばで埋もれること。湧きおこる複雑な感情を乗りこなそうと足掻き続ける、ダイヤモンドの生き様を振り返る。 ダイヤの生きる力強さを感じたら、なんかもう手…
宝石の国、全108話読み終えた。 こんなに変わっていく主人公を見たことがない。変化は良いことなのか、悪いことなのか。1週間考え続けたけど、分からない。分かるはずもないか。いまもこうして、みんな少しずつ変わっている最中なんだから。 宝石の国(1)…
ブログというのは大変面白いもので、気が付くと生活など置き去りにして延々と書いてしまう。と同時に、こればっかりで良いのだろうか?と疑念を抱いたりすることもまた事実としてある。 GWにちょっと生活から離れる機会があったので、思い切って毎日のルーチ…
AC部がまた楽しいことしてる…!! www.corocoro.jp 今日は、コロコロコミックの電子版で4月から連載を開始した「キャンバれ!郎太桃」をレビューしていく! もー、面白かったし楽しかった!!いつも「社会的に逸脱しないこと」を重視して生きているわたしに…
昨日話した佐藤愛子著「死ぬための生き方」の後半レビュー。最後の「こんな死に方もある」という章では、亡くなってしまった何人かの作家について、著者が印象に残っていること、かつての交流の様子が描かれている。 今日はその中から、著者の古くからの友人…
佐藤愛子著「死ぬための生き方」を読んだ。和田誠の装丁が決め手で手にとったこの本には、なかなか聞けない大人の本音が入っていたように思う。 物事に対して自分と世の中のものさしで測り、考えを深めて、切る。この人の切り口は毒が強めで、でもこの毒を待…
神保町の呂古書房で手に入れた趣味誌「諏楽(しゅらく)」を読んだ。そこには好きなものを掘り下げた先にある、成熟した趣味の世界が広がっていた。 諏楽通信社が発行していた「諏楽」 収集家たちが集う冊子・諏楽 65年前の、1959年に出た個人(もしくはサー…
1日1区切りずつにんじんと孫子を読む「1にんじんと1孫子」が終わって、こないだはにんじんの感想を話した。今日は孫子を話していく。 (書いた後に分かったこと…タイトルの「心を割く」は誤用表現です。正しくは「心を砕く」や「時間を割く」となります…
1日1区切りずつ、にんじんと孫子を読む謎の取り組み「1にんじんと1孫子」が終わった。 books-limelight.com 今日はにんじんの感想を話していくんけど、とにかくヘビーだった…一見穏やかそうな挿絵に目が止まってこうして読んでみたわけだけど、途中何度…
戯曲の「サロメ」を読んだ。なんて表現すればいいんだこの気持ちは…!とにかく戯曲にハマりそう、というかもうハマったかもしれない。面白かった?興味が湧いた?うーん、なんか違うんだこの感情。なぜこんなに引き込まれたのか。ストーリーを思い出しつつ、…
思ってばかりから抜け出すために読んだ「自分の頭で考える」レビューの続き。 books-limelight.com 知識を得ること、思考することは両立が難しい。それをうまく回すためには、"忘れる"ことが重要だという。なんとなく、たくさん知識があるほうが思考も深くな…
最近また、「思う」量が増えている。 朝起きて「思う」、ご飯を食べて「思う」、誰かと話しながら「思う」。思ってばかりでとても疲れる。本にも集中できなくて、同じ本を読んでばかりだ。これでいいのか?不安になる。 そこで、なにか刺激になればと「思考…
ダンジョン飯の感想、話し足りないのでおかわり3杯目。ネタバレあり。 ダンジョン飯 12巻 (HARTA COMIX) 作者:九井 諒子 KADOKAWA Amazon 今日も読み返してたのだけど、登場人物それぞれの個性が、良い点も悪い点もお互いに補い合って、見事に調和していくの…