BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

日々是作文。来年の今日にまた読もう。

2023年10月13日。今日は小説家・山本文緒の2回忌なので、著者との出会いの本「日々是作文」と共に過ごしました。

31歳から41歳までの、著者の「微妙なお年頃」のエッセイが10年分つづられています。

離婚して、仕事が軌道に乗って、再婚して、うつになる。はたから見ても激動の10年間だよなあ。

この本を初めて手に取ったとき、わたしは結構疲れ果てちゃってて、いろいろ清算したあとで、心境としては焼け野原みたいな感じでした。

昔に読んだ本って、読み始めるとその時の心境に戻るから不思議ですよね。ああ、あの時からもうこんなに時間が経ったんだな~と感じながら、目次から思い出した話を読んだり、ドッグイヤーしていた部分を読み直したりしていました。

たぶん、これを読んだからブログ始めたのかも?と思ったり。いや、他にも理由はありますけどね、その中の一つでは確実にあります。

例えばこの部分。

むやみに人を傷つけたくないし、自分も傷つけられたくない。でも"思ってしまったこと”というのは、どこかで消化しなければ、忘れたつもりでもどんどん溜まって積もってゆく。

山本文緒著「日々是作文」より引用

日記をつける派の著者が、なぜ日記を書くのかについて話していく「日記をつける奴」という話。この文章には打ちのめされた。本当だ。すごい溜まってし、積もってる。決壊しそうだったことに気がついてハッとしました。

誰かに話してもいいけど、そういうのって知って欲しくない人にも伝わることがあるでしょう?そうそう、そういう時あるな~。小心者だから日記に書いてるんだよ。ああ、そうすればいいのか。私も書いてみようかな。というか、昔書いてたかも。

こんな感じで読みながら、自分の中で話しながら読んでいました。

ブログの話ではないけど、こういうのもあります。

大人になって自立する、ということは、一人きりで甘えずに生きていくことでは決してない。自立とは自分に心地よい人間関係を、他人とも、歳をとって昔とは違ってしまった親兄弟とも、築くことなのかもしれないと最近思うようになった。

山本文緒著「日々是作文」妹たちへ1 より引用

この、"昔とは違ってしまった親兄弟とも”というところがわたしにとってはミソで、大人になって本当に関係性が変わってしまったから(これは、心地よい面も、寂しい面もある。)こんな考え方もあるのかと新たな視点をもらったりしました。

山本文緒の作品に触れると、もとからあった自分の心の一部が、身体の底から少しずつ蘇るような感覚になります。徐々に力が湧いてくるような、あたたかくなるような…うまく言えないんですけど。

この本を読んだあとすぐ、わたしにはこの人の作品が必要だ!追おう!と決意したことを今でも覚えています。それが2021年の11月だったんで、すごく、びっくりしたし呆然としました。。本当に残念ですが、残してくれたたくさんの本があります。少しずつ、大切に読みます。

なんとなく、多分これからも10月13日は日々是作文を読んでいそうな気がします。そういえば、つい先日著者の遺作「ばにらさま」が文庫化されたみたいです。

わたしはまだ読んだことがない…というかまだまだ読んでいない作品がたくさんあるので、読むのはもう少し先になりそうです。これからもちびちびと読んでいきましょう。生きる楽しみのひとつです。感謝しています。
books-limelight.com

books-limelight.com