BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

岩波書店

アニメ『チ。』第3章にどう向き合うかー 作品との距離感を模索する

アニメ『チ。-地球の運動について-』の第2章が終わり、脱力している。今15話で、全25話だからもう折り返してるのか…YouTubeの予告動画にあった「地球の運動について」というタイトル回収に、物語は核心に迫りつつあるのか、という気持ちになる。 この作品は…

憎めないダメさが魅力の戯曲。モリエール「いやいやながら医者にされ」感想・レビュー

「いやいやながら医者にされ」を読んだ。先日の神田古本まつりのときに買ったもので、完全にタイトルに惹かれて手に取った。語呂がよくて、なんか口にしたくなる。 いやいやながら医者にされ (岩波文庫 赤 512-5) 作者:モリエール 岩波書店 Amazon 約400年前…

「さもしい」日々にさよならーシュライエルマッハー「独り思う」を読み返しながら

夏に読んでから、深く心に残っている言葉の話をする。 今これをやっておけば、あとからあれが出来ようなどという、さもしい根性を持つな。自由な精神よ、お前のうちに或るものを他のものに役立てようといったことを恥じるがよい。シュライエルマッハー「独り…

議論できる友情ートルストイ著「光あるうちに光の中を歩め」レビュー

レフ・二コラエヴィッチ・トルストイ著「光あるうち光の中を歩め」を読んだので、感想を話していく。 光あるうちに光の中を歩め (岩波文庫 赤 619-4) 作者:トルストイ,L.N. 岩波書店 Amazon あらすじ 一番に感じたのはもどかしさ 議論できる友情 2人共通の問…

行動と内省の一体化…「独り思う(独白)」1章感想

読者の中には「またこの話か…」と思う方もいるかもしれないけど、わたしにとってこの本をまとめることは今後に必要な作業なので続けていく。何回かに一回、という感じにはするので見守っていてほしい。 独白(シュライエルマッハー) (岩波文庫 青 628-2) 作者…

求めていた本「浪漫主義」に出会うーシュライエルマッハー「独り思う」を読んで

いつか、自分の好きなジャンルの話が好みの文体で書かれていたらいいなあ…と夢みていたら、ついに出会えた。シュライエルマッハー「独り思う(独白)」だ。 私が読んだのはかなり昔の本で、今は岩波文庫から出ている 独白(シュライエルマッハー) (岩波文庫 …

茨木のり子が誘う詩の世界ー「詩のこころを読む」を読んで 

友人が言った「自分のために描いている」という言葉に心動かされ、わたしが書きはじめたのが詩だ。 創作ってなんとなくエンタメ感が強いと思っていて、誰かに何かを届けるためにっていうのが根底としてあった。でも友人は描いた絵を「自分のために描いていて…

孫子に教わる、心を割かない生き方ー岩波文庫「孫子」レビュー

1日1区切りずつにんじんと孫子を読む「1にんじんと1孫子」が終わって、こないだはにんじんの感想を話した。今日は孫子を話していく。 (書いた後に分かったこと…タイトルの「心を割く」は誤用表現です。正しくは「心を砕く」や「時間を割く」となります…

親に愛されない、自分も愛せない哀しみールナアル著「にんじん」レビュー

1日1区切りずつ、にんじんと孫子を読む謎の取り組み「1にんじんと1孫子」が終わった。 books-limelight.com 今日はにんじんの感想を話していくんけど、とにかくヘビーだった…一見穏やかそうな挿絵に目が止まってこうして読んでみたわけだけど、途中何度…

戯曲「サロメ」に魅せられて…次は何を読む?

戯曲の「サロメ」を読んだ。なんて表現すればいいんだこの気持ちは…!とにかく戯曲にハマりそう、というかもうハマったかもしれない。面白かった?興味が湧いた?うーん、なんか違うんだこの感情。なぜこんなに引き込まれたのか。ストーリーを思い出しつつ、…

1日「1にんじんと1孫子」 謎な並行読み実施中

1日「1にんじんと1孫子」を始めてしばらく経った。 1日1区切りずつ、両方とも読み進めるというもの。 風呂で本を読むことが日々のお楽しみなんだけど、最近はちょっと趣向を変えて遊んでいる。 今までは20代前半の頃読んだ小説(江國香織、よしもとばな…

文庫本フェアで読みたい本を探してみる

角川文庫は喫茶店に置いてきてしまった 3連休ももう終わりですね。週末に10冊近く本を買ってしまい、もうこれ以上はダメだ…と思いつつも文庫本フェアの冊子をもらってきてしまいました。徒然なるままに、出版社別の気になる本をピックアップしてみます。 【…

【時間編・思考中】モモ(ミヒャエル・エンデ作、岩波少年文庫)読書レビュー

先月にレビューしたモモ、【人物編】【総集編】は楽しくすらすらと書きましたが、一番大事かもしれない【時間編】はなかなか考えがまとまりません。今週末はのんびりなので、思考しながら書いてみます。 モモ (岩波少年文庫) 作者:ミヒャエル・エンデ,大島 …

【総括編】モモ(ミヒャエル・エンデ作、岩波少年文庫)読書レビュー

前回話してたモモ、読み終わりました~、約400ページ。いやあ、あっという間でした。読みやすくてぐんぐん読んじゃいましたね。 books-limelight.com さっそくですが結末の感想は、…そうか!これ児童文学書か!でした。お子さんが読んでも大丈夫な、ほっとす…

【人物編】モモ(ミヒャエル・エンデ作、岩波少年文庫)読書レビュー

町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ,「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります……。「時間」とは何かを問う,エンデの名作。 ミヒャエルエンデ「モモ」…

エンデのメモ箱(ミヒャエル・エンデ 著、田村都志夫 訳、岩波書店)

今日はミヒャエル・エンデの思想のかけらや、本人が振り返る記憶、物語になる前の物語を覗かせてもらえる「エンデのメモ箱」の話をしていきます。 着想を書きとめたメモや創作ノート、詩や短い芝居、辛口の文明批評、児童文学に関する日本での講演、生い立ち…