BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

読書レビュー

江國香織「きらきらひかる」感想。大切な人を大切にする方法は。

わたしはあなたと、ただこのまましあわせでいたい。 親が安心するような、(少なくとも普通の)子供でありたい。 それぞれに純粋な二つの願いが、片方叶ったらもう片方が哀しむ、二律背反の願いだったら?どうすればよいのでしょう。 そんなことを考えてしま…

よなよな電子マンガ(ホタルの嫁入り、薬屋のひとりごと、売れうつ)

今週は電子マンガが楽しくて寝不足続きでした。寝る前のスマホがダメなのは分かってるけど、一度読み始めるとやめられないんですよね〜。 今日は雑談って感じなので、ネタバレとか気にせずわーって話しちゃいます。気になる方はマンガを読んでから是非! 集…

読書は悪癖かもしれない「本物の読書家」レビュー

これだけ毎日のように本だ、読書だとうわごとのようにつぶやくブログを運営しながら、人に「趣味は何ですか?」と聞かれても読書とは言いません。映画とか散歩、美術館巡りとか適当なことを言ってはぐらかしてしまいます。 何でだろう?と思うけど、好きなキ…

理解できたとは言い難い、それでも心震える未熟な同感者【本物の読書家 レビュー】

本の内容が難しくて理解が及んでいないのに、心が震えるってことありますか?わたしにとってはこの本がそうです。 本物の読書家 (講談社文庫) 作者:乗代雄介 講談社 Amazon 乗代雄介の「本物の読書家」読了。約150ページの中編が2つ入っている小説でした。1…

借金で持ちつ持たれつ。人間関係は面白い「素晴らしい一日(平安寿子)」レビュー

大体は単調で長いであろう人生のなかで、一日くらいこんな日があったら面白い。今日は、かつて貸したお金を取り立てる一日を描いた「素晴らしい一日」をレビューしていきます。 素晴らしい一日 (文春文庫) 作者:平安 寿子 文藝春秋 Amazon この小説は6編か…

不機嫌の意外な正体がわかる「不機嫌は罪である」レビュー

なんだ、不機嫌って体の調子が悪くなってきてるサインだったんだ!と意外な正体に気がついて、対処できるようになる本「不機嫌は罪である」をレビューしていきます。 もちろん、不機嫌の全ての原因が体調ってわけじゃないですけどね。いつもの不機嫌くらいな…

死者への架空インタビュー集「キヴォーキアン先生、あなたに神のお恵みを」レビュー

楽しかった~、終わっちゃった。カート・ヴォネガット生誕100周年に合わせて2022年に発売された「キヴォーキアン先生、あなたに神のお恵みを」を読みました。 キヴォーキアン先生、あなたに神のお恵みを 作者:カート・ヴォネガット 早川書房 Amazon 薄めのハ…

「みんないってしまう」レビュー②みんないってしまうとしても、さよならとはいわない

山本文緒の短編集「みんないってしまう」。レビューが長くなったので二つに分けて、今日はその後半です。山本文緒の本ってAmazonのページ貼り付けると装丁が違うことが多いです。印刷した時期によっていろいろ変わるものなんでしょうか…? みんないってしま…

山本文緒「みんないってしまう」レビュー①目の前を通り過ぎていくものたちは

まだまだ人生中盤ともいえないけれど(や、明日何が起こるか分からないし終盤かもしれない)、既にたくさんの人や物が目の前を通り過ぎていきました。 別に悲観的でもなんでもなく、生き続けることは失うことの連続だなとじわり思い出す作品です。 みんない…

乗代雄介「十七八より」。細心の注意を払って描かれる、かつての「少女」の回顧録。

正直言って読みにくい。でも、こういう小説が好きだ!!好きだー!!! 叫んだものの、この気持ちを文章にするのは結構な勇気が必要だったし、根気がいる作業でもあった。 著者は乗代雄介氏。2023年芥川賞ノミネート作品「それは誠」を人におすすめしてもら…

豆本ガチャを読む<旅する電浴豆ガイド>

先日「古代メキシコ展」で上野に行った際、駅ナカで豆本ガチャをしました。 books-limelight.com 夏休みの土日ということもあり人人人…目が回りそうでした。結構海外の方もいましたね。 公園口を探してうろついていたら、大きなガチャガチャコーナーが!見か…

違国日記が終わってしまった 、寂しい。

気まぐれに買い集めていた違国日記。友人と本屋に行った時、好きなマンガがあってね~、と話していたら「これのこと?最終巻って書いてあるよ~」 へ?!……さみしいなあ。終わっちゃったのか。あの空気感はもう味わえないのかあ。そのまま買ってない分と最終…

「Thisコミュニケーション」という物騒なマンガがあります。

家族に何度もおすすめされていた「Thisコミュニケーション」。なんですぐ読まなかったんだ~~~~って転がるくらい面白いです。サイコホラー?サイコアクションダークファンタジー?なんなんでしょうこの作品。どうなるんでしょうこれからの展開。 Thisコミ…

夢中で打ち込む40代の青春漫画(いくえみ綾 ローズローズィローズフルバッド レビュー)

いくえみさんが、なかなかリアルな中年もの漫画を描いてくださっております。 40、50代と年齢を重ねても、夢中で打ち込めるものがあるっていいな。そしてその行動力が未来を変えていく様子が覗けるのが、この「ローズ ローズィ ローズフル バッド」です。 ロ…

話したりないので追記。「正欲」読書メモ

昨日なんとか絞り出してまとめた「正欲」レビューですが、自分が思ってることをうまく言葉にできないままあげちゃったなぁと反省しています。実力不足ってやつですね。まだ書きたいことがあったので、今日はレビューに入りきらなかった、印象に残った部分を…

「正欲」レビュー。決して気持ちのよい本ではない。それでも読んでよかった。

読後感はしんどいのみ。決して気持ちのよい本ではない。でも、自分が今まで見てきた景色が違って見える。朝井リョウの「正欲」はまさにそんな本だった。途中、しんどくなりだいぶ減速して、そのうえ元々悪かった体調もさらに崩した。後ろめたい気持ちが止ま…

市川春子作品集「虫と歌」感想・人ならざるものたちの人間模様を覗く

「虫と歌」は、人ならざるものたちの人間(らしき生き方の)模様を切り取った作品だと思う。人間に憧れたり、種の存続のため仕方なく共生を試みたり。はたまた人間が研究対象として繁殖(という言葉が適しているのか…)させている場合もある。 「人ではない…

病が教えてくれたものを背負い、前に(山本文緒著、シュガーレス・ラヴ)読書レビュー

まだいける、まだ頑張れる。そういう気持ちの時ほど限界が近く、体はついてきてくれないものだと思う。 今日の本「シュガーレス・ラヴ(山本文緒著)」は、仕事、恋愛、家庭などによって体が蝕まれてしまった10人の女性の短編集。自律神経失調症、睡眠障害、…

気になる本「芥川賞ぜんぶ読む」

今日はブックカフェに行きました。思いがけず面白い本に出会えるのが嬉しくて、たまに行くんですよね。 2連続で芥川賞受賞作をレビューしたので、なんとなく頭の中にそれがまだ残っていて、目に留まったのはこんな本でした。 芥川賞ぜんぶ読む 作者:菊池良 …

コンビニ人間に共感したわたしは、「こちら側」の人間

コンビニ人間を再読した。ハンチバックを読んだ後、同じ芥川賞作品として思い出したのと、Audibleにもあったため。読んで、そうだった。わたしは「こちら側の人間」だった。と思い出して、結構深めに落ち込んでしまった。 コンビニ人間 (文春文庫) 作者:村田…

芥川賞受賞作「ハンチバック」を読んだら考え込んでしまった

“生きた証を残したい”っていうのは、いつ頃から芽生える感情なんだろう?わたしはこれまで生きてきて、あまり考えたことがないかもしれない。そんなことより仕事、家族、趣味、毎日やるべきこととやりたいことで精一杯だったりする。 ハンチバックを読んでか…

Audibleな日々②意外と聞く習慣が根づく(7/26)

気になっていたAudibleをはじめてから8日が経ちました。意外と聞いてて、自分でも驚いています。 徐々に浸透してきました 平日の聞く時間は、主に歩いているとき。最寄り駅までけっこうあるので、通勤時間に聞いています。 休日だと、食器を洗ったり、そうじ…

ハウツー本、自己啓発本との付き合い方(「読書感想文が書ける」を読んで④)

もう世間は夏休みですか。宿題なんて出ていませんが、なぜか今日もどらえもん学習シリーズ「読書感想文が書ける」のレビューをしていきます。 「読書感想文が書ける」を読んで、感想文を書いてみる 感想文に良い悪いはあるか? (番外編)わたしの読書レビュ…

【見仏記 読書レビュー】みうらじゅん、いとうせいこうの正反対な思考が覗ける紀行文

仏像にそこまで興味はありませんが、いとうせいこうの「ラップと小説」、みうらじゅんの「講義と思考本」が好きです。 見仏記は長らく積み本していて、今回2週間かけてちまちま、でもじっくり読みました。同じ”仏”を見ながらも全く別の思考をもつ二人の掛け…

感想文に良い悪いはあるか?(読書感想文が書けるを読んで②)

前回に引き続き、ドラえもん学習シリーズ「読書感想文が書ける」を読んで得た知識を使って感想文を書いていきます!今日はどうなるでしょう。やってみましょう。 前回の記事books-limelight.com 今回は、感想文に良い悪いはあるか?伝わる感想文ってどういう…

「読書感想文が書ける」を読んで、感想文を書いてみる

2023年夏の課題図書として、「ドラえもんの学習シリーズ」からこの本を選びました。得た知識でさっそく感想を投稿してみようと思います。 ドラえもんの国語おもしろ攻略 読書感想文が書ける (ドラえもんの学習シリーズ) 作者:藤子 F不二雄 小学館 Amazon boo…

罰に怯えながらも罪を犯すとき、人は(遠藤周作著、海と毒薬 読書レビュー)

これは自論ですが、どんな人でも10回選択を誤ると犯罪者になる、と思っています。わたしも、あなたも、どんなにいい人でもです。 この「海と毒薬」は、昭和初期に実際に起きた、大学病院での生体解剖実験がもとになっています。この史実をベースに、架空の登…

補足レポ:自分の力不足を思い知った読書(ひとりを愛し続ける本を読んで)

昨日レビューしたひとりを愛し続ける本ですが、正直いまのわたしにはレベルの高い本でした。そのことについて書き残しておきたいので補足レポします。 books-limelight.com ひとりを愛し続ける本 (講談社文庫) 作者:遠藤周作 講談社 Amazon 私はこの本の本意…

【遠藤周作 ひとりを愛し続ける本 レビュー】読んだらもっと知りたくなった、遠藤周作のエッセイ集

今日は遠藤周作のことがもっと知りたくなって買ったエッセイ、「ひとりを愛し続ける本」の話をしていきます。 情熱的な愛に生き続けたいと人は願うが、それは、激しくとも短く終わるもの。本当の自分、真実の生き方を求めて心の中を掘り下げ、明暗の異なるも…

女同士の距離感(山本文緒著、絶対泣かない読書レビュー)

女同士の友情は割と薄情である。と思う。 それは、女にとって自分の役割…というか立ち回りが変わる瞬間は割とたくさんあって、その都度共感してくれる人を探すから。あまりに生き方が変わってしまうと、自然とあっさり会わなくなってしまうものだ。 今日話す…