読書レビュー
年末年始の長期休暇で心が閉じてしまったのか、言おうとしてやめることが多発しています。 「旅行、楽しかったですか?写真見せてください!」 「芥川賞とれなくて残念でしたよね、もう読みましたか?」 「今日お弁当忘れちゃったんですよね、お昼一緒行きま…
昨年に挑んだいがらしみきお著「IMONを創る」を読み直して、これをまとめて感想を話すのは違うという結論にいたりました。これは著者の理屈であって、わざと人には分からないようにしているものを無理やり分かったようにまとめることには意味がない。人の理…
森薫の漫画「乙嫁語り」には魅力的な人物がたくさん出てきますが、特に思い入れがあるのがパリヤです。前回はパリヤに出会った時と共鳴した部分について話しました。後編の今回は、彼女を見ていくなかで感じた「自己受容」を、漫画のシーンを振り返りつつま…
また乙嫁語りの話です。19世紀の中央アジアが舞台のこの物語。今日はわたしが読むきっかけとなった「パリヤ」について話していきます。読む前も読んだ後も、ふと考えてしまうくらいにはこの子が好きです。 乙嫁語り 8巻 (青騎士コミックス) 作者:森 薫 KADOK…
多少ムキになって言いますが、私は書くのがしんどくないです。むしろ書かないことで言葉にできないモヤモヤがたまるほうがしんどい。 今ちょうど繁忙期で、あくせくしていたら書きたいことが16個ほど溜まってしまいました。昨日は1日休みだったので半分くら…
先日「森薫・入江亜季展」に行ってから、二人のマンガを読んでいます。どちらの作品も味わい深く、異国を感じてはうっとりする日々…今日はまず、森薫「乙嫁語り」の魅力を深掘りします。 19世紀後半の中央アジア、一人の乙嫁(おとよめ:美しい花嫁)が嫁い…
秋~春にかけては湯船につかりながら本を読むのですが、何度も読み返しているのが「山とそば」です。猫村さんで知られるほしよりこが描く旅の絵日記は、自然体で気取ってなくて、こんな旅がしてみたいなあ〜と読むたびに憧れるのでした。 この漠然とした「い…
冬になりかけの今、空を見上げて白い息を吐いてみる。来年もきっとこうして、この本を思い出すんだろう。 すべての、白いものたちの (河出文庫) 作者:ハン・ガン 河出書房新社 Amazon 2024年ノーベル文学賞を受賞したハン・ガン(韓江)の「すべての、白いも…
最近いい感じに自己コントロールできてるかなと思ってたら、やっぱり出てきましたよ~自意識。いつまで私の活動を邪魔する気だ!首根っこつかんでお帰り頂きたいけど、あなたもまた私です。とりあえず話を聞いてみましょう。 そして一緒に読んだ「放っておく…
推しの子が完結したと聞きつけて、買ってきましたヤングジャンプ。ネタバレするので、気になる方は読んでからどうぞです。 コンビニ3軒はしごした 165話の時点で私の中ではクライマックスを迎えていたものの、読んで…うん、良かったのかな。アイドルの胆力…
ハン・ガン著「すべての、白いものたちの」を読んでいる。 知っているのはノーベル文学賞を受賞した人ということだけで、それ以外は何にも知らない。不勉強を反省しつつ…あえて調べずまっさらの気持ちで読んでいる。 すべての、白いものたちの (河出文庫) 作…
「金魚の夢」を読んだ。この本の変わっているところは、向田邦子「著」じゃなくて「原作」というところ。ドラマの放送台本を別の人が小説化したものだった。文章の違いなど細かなことは分からないけど、視点や展開など、物語の中に向田邦子成分はたっぷりと…
「いやいやながら医者にされ」を読んだ。先日の神田古本まつりのときに買ったもので、完全にタイトルに惹かれて手に取った。語呂がよくて、なんか口にしたくなる。 いやいやながら医者にされ (岩波文庫 赤 512-5) 作者:モリエール 岩波書店 Amazon 約400年前…
星野智幸著「ひとでなし」を読んだ。北海道新聞、中日新聞、東京新聞、西日本新聞、神戸新聞に、2022年8月~2024年7月まで連載していたもの。連載していたことは知らず、書店の平積みで帯のコピー、目次、初めの1ページと読んだら主人公の人生が気になり、す…
今日は小林賢太郎戯曲集(椿 鯨 雀)の話をしていく。この本はラーメンズ(小林賢太郎・片桐仁)が2001〜2002年にかけて劇場で上演した作品台本を文章化したもの。お笑いの人、コントの人、演劇の人、どれとも言えない独自の世界を表現している人たちだよな…
フレッド・ホイル著「10月1日では遅すぎる」のレビューも3回目になった。流石にこれでおしまいにする。1回目はうっとりした読後感を話し、2回目は物語のテーマでもある「時間の感覚」について深堀りした。今日は最後に個人的な感想ということで、主人公と音…
これでよろしくて? (中公文庫) 作者:川上弘美 中央公論新社 Amazon 川上弘美著「これでよろしくて?」を読んだ。主人公は38歳の専業主婦、菜月。夫の光と2人暮らしで、子供はいない。特に大きな不満もなく淡々と暮らしている中に一つの転機が訪れる。 商店…
フレッド・ホイル著「10月1日では遅すぎる」を再読している。 この物語は、時間の感覚が不確かなものになった世界で、人類の行く先はどうなってしまうのか?その様子を主人公が奏でるピアノ曲が彩っていくような構成になっている。再読する中で、ほんの少し…
「平野甲賀〔装丁〕術好きな本のかたち」を読んだ。フリーのブックデザイナーが一冊の本の装丁を仕上げるまでの様子が日常と共に記されている。 平野甲賀 装丁術―好きな本のかたち (シリーズ日常術) 作者:平野 甲賀 晶文社 Amazon 今みたいにPCソフトで編集…
先日のこと。お茶を飲みながらぼーっと本棚を見ていると、「10月1日では遅すぎる」という本が目に入った。 私の目の前にはいつも少しのSFがある 10月1日では遅すぎる (ハヤカワ文庫 SF 194) 作者:フレッド ホイル 早川書房 Amazon ちょうど9月が終わるとこ…
今の職場は良くも悪くもコミュニケーションがないのが特徴なんだけど、めずらしく社内連携が増えててめちゃくちゃ疲弊している。土日もなんだかんだ人に会ったり宿題のようなことをやってるとあっという間に過ぎてしまい、思いを巡らせる時間がとれない。 し…
レフ・二コラエヴィッチ・トルストイ著「光あるうち光の中を歩め」を読んだので、感想を話していく。 光あるうちに光の中を歩め (岩波文庫 赤 619-4) 作者:トルストイ,L.N. 岩波書店 Amazon あらすじ 一番に感じたのはもどかしさ 議論できる友情 2人共通の問…
わたしのブログは大体いつも2000〜2500文字くらいなんだけど、800〜1000文字くらいにしたいと思っている。というのも、毎回A5の紙にレイアウトして一緒に載せたいと考えていて、収まる文字数がそのくらいなのだ。 短くて的確な文章といえばやっぱり新聞記事…
読者の中には「またこの話か…」と思う方もいるかもしれないけど、わたしにとってこの本をまとめることは今後に必要な作業なので続けていく。何回かに一回、という感じにはするので見守っていてほしい。 独白(シュライエルマッハー) (岩波文庫 青 628-2) 作者…
いくえみ綾「1日2回」を再読しました。39歳の幼馴染2人、結婚したものの訳あっていまはフリー。1日2回、ふと頭をかすめるのは、恋人でも家族でもないお互いのこと…この空気感がなんともいえず好きで、たまに読み返してます。 1日2回 1 (マーガレットコミック…
先日読んだ内省と自己形成に関する本「独り思う(独白)」に心底満たされてしまい、惚けている。ブログにまとめることもできず他の本にも手がつかない。これからだっていうのにまったく…! この本、わたしの悩みをことごとく無効化して激励までしてくれる内…
いつか、自分の好きなジャンルの話が好みの文体で書かれていたらいいなあ…と夢みていたら、ついに出会えた。シュライエルマッハー「独り思う(独白)」だ。 私が読んだのはかなり昔の本で、今は岩波文庫から出ている 独白(シュライエルマッハー) (岩波文庫 …
こないだブックカフェに行った時、普段読まないようなものに接してみようと、昼田祥子著「1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話」を読んでみた。 1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話 作者:昼田 祥子 講談社 Amazon mi-m…
今日は正直な気持ちを書いてみよう。いや、前回話したことが嘘だったわけじゃないけど。あれは自分に対する励ましのような記事だった。 この間、はてブ砲・スマニュー砲・Google砲があたってアクセスが急増したとき、一番はじめに湧き起こった気持ちは恐怖だ…
オードリーの若林正恭が書いた「ナナメの夕暮れ」を読んだ。37~39歳にかけて、ダ・ヴィンチに連載していたエッセイだった。 ナナメの夕暮れ (文春文庫) 作者:若林 正恭 文藝春秋 Amazon M-1準優勝を経て、芸能界に本格的に入ったのが30歳。そこから第一線で…