BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

読書レビュー

本の感想がまとまらない④満たされちゃって書けないときは、読んでまた書く。

先日読んだ内省と自己形成に関する本「独り思う(独白)」に心底満たされてしまい、惚けている。ブログにまとめることもできず他の本にも手がつかない。これからだっていうのにまったく…! この本、わたしの悩みをことごとく無効化して激励までしてくれる内…

求めていた本「浪漫主義」に出会うーシュライエルマッハー「独り思う」を読んで

いつか、自分の好きなジャンルの話が好みの文体で書かれていたらいいなあ…と夢みていたら、ついに出会えた。シュライエルマッハー「独り思う(独白)」だ。 私が読んだのはかなり昔の本で、今は岩波文庫から出ている 独白(シュライエルマッハー) (岩波文庫 …

服と自分…価値観の再考「1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話」を読んで

こないだブックカフェに行った時、普段読まないようなものに接してみようと、昼田祥子著「1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話」を読んでみた。 1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話 作者:昼田 祥子 講談社 Amazon mi-m…

小心者、進化のヒントを探るー「うまくいっている人の考え方」を読んで

今日は正直な気持ちを書いてみよう。いや、前回話したことが嘘だったわけじゃないけど。あれは自分に対する励ましのような記事だった。 この間、はてブ砲・スマニュー砲・Google砲があたってアクセスが急増したとき、一番はじめに湧き起こった気持ちは恐怖だ…

「理想の自分」の殺し方ー若林正恭著「ナナメの夕暮れ」レビュー

オードリーの若林正恭が書いた「ナナメの夕暮れ」を読んだ。37~39歳にかけて、ダ・ヴィンチに連載していたエッセイだった。 ナナメの夕暮れ (文春文庫) 作者:若林 正恭 文藝春秋 Amazon M-1準優勝を経て、芸能界に本格的に入ったのが30歳。そこから第一線で…

【4巻感想】いくえみ綾「ローズ ローズィ ローズフル バッド」

いくえみ綾の「ローズ ローズィ ローズフル バッド」4巻が、今の自分にリンクしているなあ…と思ったので、感想を話していく。 ローズ ローズィ ローズフル バッド 4 (マーガレットコミックスDIGITAL) 作者:いくえみ綾 集英社 Amazon 主人公の神原正子は、「…

詩とはなんなのかー黒田三郎「小さなユリと」「詩の作り方」を通して見えたもの

先日読んだ茨木のり子の「詩の心を読む」は、さまざまな詩人を紹介してくれる内容だった。なかでも、わたしは「吉野弘」「岡真史」「黒田三郎」「川上肇」「石垣りん」の詩が心に残った。 気になる人を少しづつ深めようと、8月は黒田三郎に焦点をあてて読書…

みそ汁の可能性を信じるー土井善晴著「一汁一菜でよいという提案」を読んで

以前挫折した土井善晴著「一汁一菜でよいという提案」を読了した。この本は料理のレシピ本ではなく、食生活に関する思想本という感じの本。 一汁一菜でよいという提案(新潮文庫) 作者:土井善晴 新潮社 Amazon 前に読んだときはどうも説教臭く感じて読めな…

ダメ男小説の金字塔「ぼくのともだち」感想・レビュー

ポン、と机の上に置かれていた本の、キャッチ―な帯が気になった。 「ダメ男小説の金字塔」 …気になる。読まずにはいられなくて、買って来た家族が読む前にわたしが読んでしまった。 ぼくのともだち 作者:エマニュエル・ボーヴ 白水社 Amazon 主人公はヴィク…

生きにくさを乗り越えるヒント「最高の体調(鈴木裕著)」レビュー

生きにくい。本当に生きにくい。 連日35度を超え、湿度も高くて都心はちょっとした地獄のようです。職場に行けば、スーツ民のためキンキンに冷えた室内でカーディガンを2枚羽織ります。令和ですがそんなもんです。 がっつり体調を崩している訳じゃないけど…

ままならない人生は、現在進行形(百年の孤独レビュー)

先週末、百年の孤独を読み終えた。マコンドという土地と、ブエンディ―ア一族にまつわる物語。 百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez) 作者:ガルシア=マルケス,ガブリエル 新潮社 Amazon 感想に迷って3日も経ってしまった。こねくりまわしてもうまくいかな…

自分の柱を守るための詩ー茨木のり子の詩集を読んで

先日「詩のこころを読む」という本を読んで茨木のり子についてもっと知りたくなり、図書館で2冊借りてみた。 貸出期間の2週間をたっぷり使って、家のことをしている合間に読んでは考えていた。自分の柱について。この人の柱は強そうにみえて、きっとそんな…

茨木のり子が誘う詩の世界ー「詩のこころを読む」を読んで 

友人が言った「自分のために描いている」という言葉に心動かされ、わたしが書きはじめたのが詩だ。 創作ってなんとなくエンタメ感が強いと思っていて、誰かに何かを届けるためにっていうのが根底としてあった。でも友人は描いた絵を「自分のために描いていて…

死と葬儀の現実を知るーケイトリン・ドーティ著「煙が目にしみる」レビュー

ケイトリン・ドーティ著「煙が目にしみる」を読んだ。ネトフリアニメ「ミッドナイト・ゴスペル」の世界にのめり込み、物語に出てくる人の本を読んでみたのだった。 煙が目にしみる : 火葬場が教えてくれたこと 作者:ケイトリン・ドーティ 国書刊行会 Amazon …

「旬」は、自分の中にー東北新幹線で読むエッセイ

用事があり先日、東北新幹線に乗った。車内のお楽しみはフリーペーパーの「トランヴェール」だ。 席に着くと前のポケットに入ってるやつ。 以前は沢木耕太郎が「旅のつばくろ」というエッセイを寄せていた。いまは、「旅のまにまに」というものを柚月裕子が…

考えるな、作ろう(キャンバれ!郎太桃3話レビュー)

キャンバれ!郎太桃の3話を読んだ。コロコロコミックのオンラインでだけ連載していると思ったら、本誌でも掲載されているらしいことをSNSで知った。わたしは引き続きオンラインで読んだ。 今回は大して感想というのはなくて、ていうか3話読も〜と思って検索…

人生の深い話を軽く語る対談集。(みうらじゅん・リリーフランキー「どうやら俺たち、いずれ死ぬっつーじゃないですか」レビュー )

深い話は浅く、浅い話は深くする。これが憧れるかっこいい姿だ。 リリーフランキーとみうらじゅんの対談集「どうやらオレたち、いずれ死ぬっつ―じゃないですか」を再読した。 「人生」「人間関係」「仕事」「生と死」という重たいテーマについて、居酒屋で2…

飾らず生きれば、都会も田舎にー吉本ばなな著「下北沢について」レビュー

「下北沢について」を再読した。 著者のよしもとばななが住んでいる東京・下北沢について、たっぷり語ってくれるエッセイだ。もともとはエッセイ2つ+裏話が入った小冊子で、それがいくつか合わさって書式化されたものらしい。 下北沢について (幻冬舎文庫)…

SFメルヘン「いさましいちびのトースター(トマス・M・ディッシュ)」レビュー

トマス・M・ディッシュの「いさましいちびのトースター」を読んだ。 本作は、ローカス賞・英国SF協会賞・日本では星雲賞海外短編賞を受賞した、すごい子供向け作品。著者の他の作品を読んだことがないのだけど、SFやミステリーなどでかなり有名な人らしい。…

大人の絵本「ふわふわ」レビュー:村上春樹と安西水丸が描く、猫との記憶

村上春樹著「ふわふわ」を再読した。著者が幼少期を共に過ごした猫、「だんつう」との思い出を描いた作品。 挿絵は安西水丸。この人の絵が好きなので手に取った。 ふわふわ (講談社文庫 む 6-21) 作者:村上 春樹,安西 水丸 講談社 Amazon 「だんつう」とは中…

「うまくつくれない」いまの自分に効いた本ー「編集デザインの発想法」を読んで

春から知り合いの店のフリーペーパーを作らせてもらっている。テンプレ7割、自力3割という感じなんだけど、つくるたび「無力…力不足だーーーっっ」と心の叫びがとまらない。 デザイン本とか読んでわかった気になって、結局全然わかってないじゃん。そんなこ…

書くこと・伝えることの本質を見つめるー「書いて生きていく プロ文章論」レビュー

今日はもう一度「書いて生きていく プロ文章論」の話をする。前回はちょっと持論を展開しすぎたので、今回は純粋に本の中身を話していこうと思う。 書いて生きていく プロ文章論 作者:上阪 徹 ミシマ社 Amazon この本はざっくりいえば「使う本」で、「書くっ…

自分インタビューでより「伝わる」記事にー「書いて生きていく プロ文章論」を読んで

好きが過ぎると、うまく書けない。最近の「ミッドナイトゴスペル」の2記事がそうだ。もーー、この作品がたまんなくて。わたしが欲しいものが、めちゃくちゃわかりにくく詰まった作品だ。 順序立てて話したいのに、気持ちが前に行き過ぎちゃって感情の部分ば…

ユーモアと共に生きる/ユーモア美術館(新潮文庫)レビュー

ユーモア【humor】 …人の心を和ませるようなおかしみ。上品で、笑いを誘うしゃれ。諧謔 (かいぎゃく) 。類語…機知(きち) 頓知(とんち) 機転(きてん) ウイット エスプリ(goo辞書より引用) 今わたしが一番欲しいもの、それはユーモアだ。これさえあれば、しん…

想い出の苦さと味わい深さ「セ・シ・ボン(平安寿子著)」レビュー

今日は十数年ぶりに再読した、平安寿子著「セ・シ・ボン」の話をしていく。この作品は、著者が20代の時にした留学にまつわるエッセイだ。 セ・シ・ボン (ちくま文庫) 作者:平安寿子 筑摩書房 Amazon 表題でもあるセシボンという単語は、フランス語で「素敵」…

旅は過去を連れて(沢木耕太郎著「旅のつばくろ」レビュー)

高速バスや電車など、移動中に読むフリーペーパーが好きだ。特に旅と一緒に読んだものは、不思議なほど胸に染み入る。 旅のつばくろ (新潮文庫 さ 7-58) 作者:沢木 耕太郎 新潮社 Amazon 今日紹介する「旅のつばくろ」は、作家の沢木耕太郎が、東北新幹線の…

想いが通じるための5つの架け橋(あなたの話はなぜ「通じない」のか を読んで)

ずっと家にある本だけど、わたしは買った記憶がない。家族に聞いても買っていないという。わたしの本棚にはたまにそういうことがある。 あなたの話はなぜ「通じない」のか (ちくま文庫) 作者:山田ズーニー 筑摩書房 Amazon 山田ズーニー著『あなたの話はなぜ…

わたしはすっきりデトックス~「キャンばれ!朗太桃」第2話レビュー

コロコロオンラインで連載している「キャンばれ!朗太桃」の第2話を読んだ。 このマンガは「AC部×Canva×コロコロコミック」が異色コラボしている作品で、毎月15日更新みたいだ。わたしはとても楽しみに待っていた。 支離滅裂を繰り返して無理やり結末に向か…

強くて脆い、ダイヤモンドの輝き【宝石の国レビュー・2】

今日も宝石の国の話。最も思い入れがある、ダイヤモンドの話をしていく。 目の前にいる「最強」のそばで埋もれること。湧きおこる複雑な感情を乗りこなそうと足掻き続ける、ダイヤモンドの生き様を振り返る。 ダイヤの生きる力強さを感じたら、なんかもう手…

【宝石の国・読了】変わっていくなかに変わらないものをもつこと

宝石の国、全108話読み終えた。 こんなに変わっていく主人公を見たことがない。変化は良いことなのか、悪いことなのか。1週間考え続けたけど、分からない。分かるはずもないか。いまもこうして、みんな少しずつ変わっている最中なんだから。 宝石の国(1)…