BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

講談社

【宝石の国・完結】わたしは最後まで読むんだぞという意思を固める

2日連続で人に会うなんてめったにないんだけど、飲みが重なった。その人たちがみな同じことをいう。 「宝石の国が完結したよ…29日まで、最新話以外全部読めるから…あなたは読んでね…」 魂が抜けたような、ずっと何かを考えているような、呆けた表情でそんな…

感情が理解を追い越していくー「最高の任務(乗代雄介著)」を読んで

乗代雄介著「最高の任務」を読んだ感情を話していく。 誤字ではない。今日書くのは「感想」に満たない「感情」となる。 終盤にかけて涙が止まらなくなり、嗚咽しながらなんとか読み終えた。帰ってきた家族のどん引きした顔。時間をおいて読み直しても変わら…

前に進みたいがために書き出す、進めないことを確認する作業-生き方の問題(乗代雄介著)感想

乗代雄介著「最高の任務」を読み終えた。2つの中編からなる本で、今日は1つ目の「生き方の問題」について話をしていく。 最高の任務 (講談社文庫) 作者:乗代雄介 講談社 Amazon 過去には「十七八より」、「本物の読書家」を読み、それぞれにうまく言葉にで…

ビジュアリストの読書観。「言葉を離れる(横尾忠則著)」レビュー

えらい時間のかかった読書でした。1ヶ月くらい一緒に過ごしてたかも。多少ムキになって読んでいた感はあります。 言葉を信用しない、ビジュアリストの読書観。文章に埋もれることが幸せなわたしにとっては、物事の捉え方の違いをこれでもかと味わえた本でし…

読書は悪癖かもしれない「本物の読書家」レビュー

これだけ毎日のように本だ、読書だとうわごとのようにつぶやくブログを運営しながら、人に「趣味は何ですか?」と聞かれても読書とは言いません。映画とか散歩、美術館巡りとか適当なことを言ってはぐらかしてしまいます。 何でだろう?と思うけど、好きなキ…

理解できたとは言い難い、それでも心震える未熟な同感者【本物の読書家 レビュー】

本の内容が難しくて理解が及んでいないのに、心が震えるってことありますか?わたしにとってはこの本がそうです。 本物の読書家 (講談社文庫) 作者:乗代雄介 講談社 Amazon 乗代雄介の「本物の読書家」読了。約150ページの中編が2つ入っている小説でした。1…

ある日の読書記録(2023夏の終わり)

また書評がゲシュタルト崩壊を起こしてよくわからなくなった。小説という解釈の仕方が無限大なものに対して自分の見解を述べていくこの恥ずかしさよ…別に思うことも表現することも自由なはずなんだけど、今は厚かましく傲慢に感じる。 自分には何がわかって…

新たに出会った作家に、感情が右往左往している

今日は乗代雄介著「本物の読書家」を読んでいた。 本物の読書家 (講談社文庫) 作者:乗代雄介 講談社 Amazon 今8章まで読んだところ。たぶん一番わくわくするところで、読み終えるのがもったいなくなってきて、この気持ちの時に文章に残しておこうと思う。 …

乗代雄介「十七八より」。細心の注意を払って描かれる、かつての「少女」の回顧録。

正直言って読みにくい。でも、こういう小説が好きだ!!好きだー!!! 叫んだものの、この気持ちを文章にするのは結構な勇気が必要だったし、根気がいる作業でもあった。 著者は乗代雄介氏。2023年芥川賞ノミネート作品「それは誠」を人におすすめしてもら…

市川春子作品集「虫と歌」感想・人ならざるものたちの人間模様を覗く

「虫と歌」は、人ならざるものたちの人間(らしき生き方の)模様を切り取った作品だと思う。人間に憧れたり、種の存続のため仕方なく共生を試みたり。はたまた人間が研究対象として繁殖(という言葉が適しているのか…)させている場合もある。 「人ではない…

補足レポ:自分の力不足を思い知った読書(ひとりを愛し続ける本を読んで)

昨日レビューしたひとりを愛し続ける本ですが、正直いまのわたしにはレベルの高い本でした。そのことについて書き残しておきたいので補足レポします。 books-limelight.com ひとりを愛し続ける本 (講談社文庫) 作者:遠藤周作 講談社 Amazon 私はこの本の本意…

【遠藤周作 ひとりを愛し続ける本 レビュー】読んだらもっと知りたくなった、遠藤周作のエッセイ集

今日は遠藤周作のことがもっと知りたくなって買ったエッセイ、「ひとりを愛し続ける本」の話をしていきます。 情熱的な愛に生き続けたいと人は願うが、それは、激しくとも短く終わるもの。本当の自分、真実の生き方を求めて心の中を掘り下げ、明暗の異なるも…