BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

2023-01-01から1年間の記事一覧

山本文緒「みんないってしまう」レビュー①目の前を通り過ぎていくものたちは

まだまだ人生中盤ともいえないけれど(や、明日何が起こるか分からないし終盤かもしれない)、既にたくさんの人や物が目の前を通り過ぎていきました。 別に悲観的でもなんでもなく、生き続けることは失うことの連続だなとじわり思い出す作品です。 みんない…

「わたしがブログを書く理由」ー読書を通して、好きなものを思い出すための作業です。

特別お題「わたしがブログを書く理由」 繁忙期!仕事に家事に忙しなくて、ブログに時間が割けない日々です。これ以上間が空くとせっかくいい感じに楽しんでいた読書ブログごと頓挫しかけない。 今日はこれすらネタにして、はてなのお題にも乗っからせてもら…

乗代雄介「十七八より」。細心の注意を払って描かれる、かつての「少女」の回顧録。

正直言って読みにくい。でも、こういう小説が好きだ!!好きだー!!! 叫んだものの、この気持ちを文章にするのは結構な勇気が必要だったし、根気がいる作業でもあった。 著者は乗代雄介氏。2023年芥川賞ノミネート作品「それは誠」を人におすすめしてもら…

読書で磨けるエンパシー(ブレイディみかこ氏インタビューを読んで)

愛用しているほぼ日手帳に、シンパシーとエンパシーについて書かれているページがありました。 2023年デイフリーの117ページ目に載っています。すごくわかりやすい。 継母にいじめられるシンデレラはかわいそうと感じるのは「シンパシー」。 継母はどうして…

Audibleな日々③聞き始めて1ヵ月半、完全に習慣化(8/30)

Audibleを始めて1ヵ月半が経ちました。あれから完全に習慣化し、平日の駅までの通勤路+家事の時間はほぼ聞いています。1日1時間くらいでしょうか。 books-limelight.com 相変わらず読みかけが多いですが、今はどんな風に楽しんでいるのか経過をまとめて…

豆本ガチャを読む<旅する電浴豆ガイド>

先日「古代メキシコ展」で上野に行った際、駅ナカで豆本ガチャをしました。 books-limelight.com 夏休みの土日ということもあり人人人…目が回りそうでした。結構海外の方もいましたね。 公園口を探してうろついていたら、大きなガチャガチャコーナーが!見か…

本が読めなくなった。さてどうするか?具体的に考える

ここ10日くらい?本が読めなくなりました。厳密にいうと小説です。転職して1年とちょっと、1日だって欠かしたことはないのに。まぁ、長い人生こんなこともありますね。読みたくないんだから仕方がないと思いつつ、読みたい本はまだまだある!このジレンマと…

【古代メキシコ展】ミリしら体験記

昔から歴史と地理はからっきしダメです(テストで赤点をとったこともある)。古代メキシコ展を見に行きたいと思った経緯も、マヤ文字とか、ビジュアルメインの興味だけ。他はほぼミリしらで観に行ったのですが、歴史こみで面白く、1週間経った今も思い出して…

違国日記が終わってしまった 、寂しい。

気まぐれに買い集めていた違国日記。友人と本屋に行った時、好きなマンガがあってね~、と話していたら「これのこと?最終巻って書いてあるよ~」 へ?!……さみしいなあ。終わっちゃったのか。あの空気感はもう味わえないのかあ。そのまま買ってない分と最終…

「顕神の夢」展に行ってきました。

不思議な美術鑑賞をしてきました。 未だに思い返すとなんだろう、ひと夏の奇妙な体験をしたような…すごく大事なことを、決してやさしくないかたちで教えてもらったような…とにかく一旦、言語化させて心を落ち着かせようと思います。 足利美術館。栃木まで遠…

「Thisコミュニケーション」という物騒なマンガがあります。

家族に何度もおすすめされていた「Thisコミュニケーション」。なんですぐ読まなかったんだ~~~~って転がるくらい面白いです。サイコホラー?サイコアクションダークファンタジー?なんなんでしょうこの作品。どうなるんでしょうこれからの展開。 Thisコミ…

夢中で打ち込む40代の青春漫画(いくえみ綾 ローズローズィローズフルバッド レビュー)

いくえみさんが、なかなかリアルな中年もの漫画を描いてくださっております。 40、50代と年齢を重ねても、夢中で打ち込めるものがあるっていいな。そしてその行動力が未来を変えていく様子が覗けるのが、この「ローズ ローズィ ローズフル バッド」です。 ロ…

話したりないので追記。「正欲」読書メモ

昨日なんとか絞り出してまとめた「正欲」レビューですが、自分が思ってることをうまく言葉にできないままあげちゃったなぁと反省しています。実力不足ってやつですね。まだ書きたいことがあったので、今日はレビューに入りきらなかった、印象に残った部分を…

「正欲」レビュー。決して気持ちのよい本ではない。それでも読んでよかった。

読後感はしんどいのみ。決して気持ちのよい本ではない。でも、自分が今まで見てきた景色が違って見える。朝井リョウの「正欲」はまさにそんな本だった。途中、しんどくなりだいぶ減速して、そのうえ元々悪かった体調もさらに崩した。後ろめたい気持ちが止ま…

好きな作家、気になる作家

なんだかアクセス数が見たこともない数値になっています。コンビニ人間のレビューをはてなで取り上げてもらったんですね。新たに読者になってくださる方もいて、嬉しいです。ありがとうございます…! もうこんなことないと思うので、スクショしました この読…

市川春子作品集「虫と歌」感想・人ならざるものたちの人間模様を覗く

「虫と歌」は、人ならざるものたちの人間(らしき生き方の)模様を切り取った作品だと思う。人間に憧れたり、種の存続のため仕方なく共生を試みたり。はたまた人間が研究対象として繁殖(という言葉が適しているのか…)させている場合もある。 「人ではない…

病が教えてくれたものを背負い、前に(山本文緒著、シュガーレス・ラヴ)読書レビュー

まだいける、まだ頑張れる。そういう気持ちの時ほど限界が近く、体はついてきてくれないものだと思う。 今日の本「シュガーレス・ラヴ(山本文緒著)」は、仕事、恋愛、家庭などによって体が蝕まれてしまった10人の女性の短編集。自律神経失調症、睡眠障害、…

正欲(朝井リョウ著)、ぞわぞわしすぎて中間レビュー

Audibleにあったので聞いています「正欲」。今まだ3分の1くらい?なんですが、ぞわっぞわしてたまらず!頭の整理もかねて、読み途中の気持ちをひとまず先に書いておきます。 正欲(新潮文庫) 作者:朝井リョウ 新潮社 Amazon 現時点での理解ですが、この物…

気になる本「芥川賞ぜんぶ読む」

今日はブックカフェに行きました。思いがけず面白い本に出会えるのが嬉しくて、たまに行くんですよね。 2連続で芥川賞受賞作をレビューしたので、なんとなく頭の中にそれがまだ残っていて、目に留まったのはこんな本でした。 芥川賞ぜんぶ読む 作者:菊池良 …

コンビニ人間に共感したわたしは、「こちら側」の人間

コンビニ人間を再読した。ハンチバックを読んだ後、同じ芥川賞作品として思い出したのと、Audibleにもあったため。読んで、そうだった。わたしは「こちら側の人間」だった。と思い出して、結構深めに落ち込んでしまった。 コンビニ人間 (文春文庫) 作者:村田…

芥川賞受賞作「ハンチバック」を読んだら考え込んでしまった

“生きた証を残したい”っていうのは、いつ頃から芽生える感情なんだろう?わたしはこれまで生きてきて、あまり考えたことがないかもしれない。そんなことより仕事、家族、趣味、毎日やるべきこととやりたいことで精一杯だったりする。 ハンチバックを読んでか…

Audibleな日々②意外と聞く習慣が根づく(7/26)

気になっていたAudibleをはじめてから8日が経ちました。意外と聞いてて、自分でも驚いています。 徐々に浸透してきました 平日の聞く時間は、主に歩いているとき。最寄り駅までけっこうあるので、通勤時間に聞いています。 休日だと、食器を洗ったり、そうじ…

ハウツー本、自己啓発本との付き合い方(「読書感想文が書ける」を読んで④)

もう世間は夏休みですか。宿題なんて出ていませんが、なぜか今日もどらえもん学習シリーズ「読書感想文が書ける」のレビューをしていきます。 「読書感想文が書ける」を読んで、感想文を書いてみる 感想文に良い悪いはあるか? (番外編)わたしの読書レビュ…

【見仏記 読書レビュー】みうらじゅん、いとうせいこうの正反対な思考が覗ける紀行文

仏像にそこまで興味はありませんが、いとうせいこうの「ラップと小説」、みうらじゅんの「講義と思考本」が好きです。 見仏記は長らく積み本していて、今回2週間かけてちまちま、でもじっくり読みました。同じ”仏”を見ながらも全く別の思考をもつ二人の掛け…

【お礼】からの【アンドレアス・グルスキー展 回顧録】からの【スーパーカミオカンデパズル】

なんだか…最近、読んでいてくれる人がいて本当にありがたいな、としみじみ思っていまして…お礼を言いに来ました。 応援でクリックしてくださる方もいて、とても励みになります。ありがとうございます。 あと気付くのが遅くなり恐縮ですが、このあいだ、紹介…

よりよい読書レビューの模索(「読書感想文が書ける」を読んで③)

書評ブログを本格的にはじめて約3ヶ月。面白いし楽しいのですが、最近書いているなかで「これ、ちゃんと伝わってるのかな…?」「また同じ言い回しだな…」とか、課題がちらほら出てきました。 この記事では先日読んだ、どらえもんの学習シリーズ「読書感想文…

Audibleな日々①耳で聞く読書はじめる(7/18)

気になっていたAudibleをはじめました いま個人的な宿題として、自分の読書レビューのテコ入れを「読書感想文が書ける」という本を使ってやる!っていうのがあるんですけど、どうも気乗りしません。やっぱり自分のダメなところって、直視するのにすごく力が…

文庫本フェアで読みたい本を探してみる

角川文庫は喫茶店に置いてきてしまった 3連休ももう終わりですね。週末に10冊近く本を買ってしまい、もうこれ以上はダメだ…と思いつつも文庫本フェアの冊子をもらってきてしまいました。徒然なるままに、出版社別の気になる本をピックアップしてみます。 【…

【ネタバレ注意】映画「君たちはどう生きるか」観てきました

面白いとか面白くないとか、そういうものさしで観る映画じゃないかも 7月14日の公開から賛否両論の渦を巻いているジブリ最新作「君たちはどう生きるか」を観てきました。ネタバレに気をつけてるつもりでも尻から垂れ流すようなところがありますので、これか…

わたしの読書レビューのだめなところ探し(番外編「読書感想文が書ける」を読んで考える)

今日のブログテーマは「自分の読書レビューのだめなところ探し」です。前回のブログでそんな展開になったので、恐る恐る探っていきます。そして、個人的な今夏の課題図書であるどらえもんの学習シリーズ「読書感想文が書ける」を使って解決していこう!とい…