戯曲の「サロメ」を読んだ。なんて表現すればいいんだこの気持ちは…!とにかく戯曲にハマりそう、というかもうハマったかもしれない。
面白かった?興味が湧いた?うーん、なんか違うんだこの感情。なぜこんなに引き込まれたのか。ストーリーを思い出しつつ、他の戯曲でも気持ちは変わらないのかを確かめたくて、次読む作品を考えていく。
あらすじをざっくりと
オスカー・ワイルド作、挿絵はビアズレー。新約聖書が元ネタとなっている戯曲(演劇用の作品)。
主人公のサロメは王女で、王とは純粋には血の繋がっていない子供にあたる。内外問わず人を魅了する、いわゆる魔性の女というやつで、彼女を追う目線は多い。
サロメはある日、ヨカナーンという預言者の声を聞く。謎めいた存在に魅せられ振り向かせようと試みるが、彼は全くこちらになびかない。
そんななか彼女がとった行動とは…
このおどろおどろしい雰囲気はどこからくるのか
初めから最後までなんとも言えない妖しい雰囲気が醸し出されている。ト書き(台詞以外の情景描写)とセリフと、挿絵だけでこの空間を感じさせることがまずすごい。
戯曲全般にいえることなのかもしれないけど、場面の印象づけの方法が興味深かった。
同じ掛け合いを言葉を変えて反復したり、大事なフレーズは何度も何度も繰り返す。
この独特な強調の仕方が癖になる。
描写の説明は詩のよう
サロメがヨカナーンにあの手この手でアプローチする場面は、まるで詩のようだった。
褒めちぎり、なびかないとわかると次はさっき褒めたところをけなして、別のところを褒める。
サロメってほんと不思議な女だな…
ビアズレーの挿絵の影響はすごい
物語としても十分に怪しげな雰囲気が漂っているんだけど、この切り絵、版画みたいなビアズレーの絵が、作品の妖しい魅力をさらに高めていると思う。
オーダーを受けて描いたということではないらしい。
作品を通して感じたことをもとに、ビアズレー主体で描いたというのがまたいい。解説で浮世絵の影響も受けているとあり、版画っぽい雰囲気を感じたことに納得した。
サロメはいろんな出版社から出ている。ビアズレーの挿絵の解説が新潮社版にはあるらしく、そう遠くないうちにわたしは買って確かめるだろうと思う。
(わたしが読んだ本ではビアズレーだったけど、いまはオーブリー・ビアズリーと呼ばれているみたい)
ゆっくり動画で復習してわかったこと
サロメのストーリーはわかったものの、上映できなかった時期があったことや、新約聖書の元ネタも何もわからないわたしは、気になってゆっくり動画を見てみた。
(どうでもいいけど、いまやサロメといったらサロメ嬢なので「サロメ 戯曲」で調べないと出てこない。わたしはサロメ嬢も好きですわ~!)
ワイルドが描いたサロメは元ネタとは全然違う!
動画をみたところによれば、サロメは新約聖書のなかではあまり設定のないモブ的存在。それを画家たちがこぞって書いた際に徐々に設定が付け足されて、ワイルドのサロメでファム・ファタール(男を破滅させる魔性の女)な存在になってしまったという。
二次創作に二次創作を重ねてもう原作の面影なくなっちゃった、みたいな感じ…?ただ作品を読んだだけでは知りえないことを知れてよかった。こういう背景も込みで味わいたい。
てかゆっくり動画っていろんな人が出してるんだろうけど、このサロメに関してはすごく詳しい人がまとめている感じがした。知識に深みを感じる…!
さて、次はどの戯曲を読む?
ここまでつらつらと書いてみて、もうわたしは他の登場人物たちと同じくサロメに「魅せられた」ということになるのだろう。他の戯曲を読んでもこんなに気持ちがぐわんぐわんするのかな?気になる。これは読んでみないと分からない。
サロメ以外だと、ワイルドの他作品で攻めるか、王道のシェイクスピアあたりを味わってみるか、ビアズレーの挿絵が入った別作品を選ぶか、今が分岐点だ。
・ワイルドの他作品なら「幸福な王子」が気になる。
サロメは異色作っぽいから、他の作品だと感じることが違そうだな。
ゲームの好きなキャラが確かシェイクスピアとかから引用した発言をしていたような…(好きなのに、全然思い出せない、つらい)読めば思い出せるか?
・ビアズレーの挿絵をもっと見るなら「ボヴァリー夫人」
サロメの解説欄に、ビアズレーの挿絵が入ってる戯曲が紹介されていた。いくつかあったけど、他に知っているのは「アーサー王の死」くらいだった。
ボヴァリー夫人もいろんな出版社から出てるみたいなので、この本に入っているかは不明だけど…読むならこれがいい。なぜなら、以前読んだ本の引用で出てきたから。確か、十七八よりだったかな。
サロメで戯曲に魅せられたわたしの探求心はどこへいくやら…週末はブックオフだな。
この表紙の禍々しさ半端じゃない…!