BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

自分インタビューでより「伝わる」記事にー「書いて生きていく プロ文章論」を読んで

好きが過ぎると、うまく書けない。
最近の「ミッドナイトゴスペル」の2記事がそうだ。もーー、この作品がたまんなくて。わたしが欲しいものが、めちゃくちゃわかりにくく詰まった作品だ。

順序立てて話したいのに、気持ちが前に行き過ぎちゃって感情の部分ばかり熱く書いてしまう。内容も散漫で、これでは伝わらないし自分の知りたいことも書けない。

そろそろこの問題と対峙するため、「書いて生きていく プロ文章論」を読んだ。

今日はこの本の紹介と、読んで考えた「自分インタビュー」について話していく。

ポイントは「どう書くかではなく、何を書くか」

著者の上阪徹は経営・金融・就職分野に特化したライターで、3000人を超える経営者や成功者たちにインタビューした内容を、さまざまな媒体を通して世間に届けている。

この本で繰り返し伝えていることは、「どう書くかではなく、何を書くか」ということだ。大事なのは文章力ではなく、取材・インタビューして素材を集めてくる力。その力を養うには、「誰に伝えたいか」を明確に捉えて進める必要があるという。

悩みに照らし合わせるとよくわかる。わたしを取材対象としてみた場合、かなり話し好きでインタビューするのにコツがいるタイプなんだと気がついた。

わたしは読書感想をまとめる時に、湧き起こる自分の感情にインタビューするイメージを持っている。自分へのインタビューに大事なのは、それぞれの感情の引き出しからどの材料を集めていくのかだと感じて、以下にまとめてみた。

原稿の素材を集めるための「自分インタビュー」

著者は最悪なインタビューとして以下の例を挙げている。

ダメなインタビューの典型例は、話があっちこっちに行ってしまうことです。(中略)聞く方は、なんでも聞けばいいや、と思っているかもしれませんが、話しているほうは思考があっちこっちに飛んでしまって大変です。
上阪徹著「書いて生きていく プロ文章論」より引用(P149)

いつもこれやってるわ…とうなだれる。自分へのインタビュー中は大いに盛り上がって、話したいだけ話して気分良く終わるのだが、きっとわたしの話にまとまりがないのはここが原因だろう。

私自身は、目的に合致した話以外は基本的に関心を持たない、と決めています。
上阪徹著「書いて生きていく プロ文章論」より引用(P149)

著者は脱線している、と思ったらメモも取らず「この話は脱線していますよ」と相手に意思表示する。このくらいの覚悟で、原稿を書くのに必要な材料を集めていく。

推奨はしていないけど、どうしてもヤバい時は「手を上げる」といいらしい。話を話で食い止めるのではなく、動作で中断する。意外にも有効だという。

個人ブログだし、ここまでストイックにやることはないのかもしれないけど、ここを意識するだけで文章にまとまりがないことは改善できるのではないかと思った。

思考が脱線しかけたらおもむろに立ち上がるとか、何か動作を組み込んでみようと思う。

取材力を高めるために必要なターゲット選定

取材が大事だという心構えは分かった。さて、ではどうすればいいインタビューができるのか?

一番大事なのは「誰に伝えたいのか」を明確にすること。そして「相場観(その誰かはどんな情報を知りたいのか)」を知ることだという。

文章術だったり、ブログ本だったり、こういう話になるといつも「そんなのはない!」と突っぱねていた。今回はやってみよう。

正直にいえば、大体は過去・現在・未来のわたしのために書いている。たまには、友達に伝える前段階としてまとめていたりするけど。

救いだったのは、場合によっては「ターゲットは自分自身でもよい」というところだ。

わたしはもう、わたしのために書くことにする。だって、一番分かりやすくて、意外と分かっていないだろう。いま現在必要なこと、未来に役立ちそうなこと、過去を救済するために書く。そして読み手の自分が知りたいことを想像して書いていく。

それを踏まえて、この記事のターゲットを考えると、以下のような人向けということになる。

  • 好きな気持ちを言葉にしたい
  • 感想をうまく書けなくて困っている
  • 自己表現がしたいけどその方法を探している

そして解決法は、この本で紹介しているインタビュー方法を自分に向けて実践する、「自分インタビュー」形式だ。

  • 自分が知りたいことを掘り下げて内容を選定する
  • まとめたい内容に沿って、的確に自分に聞く

そのうえで、脱線しそうになったら軌道修正することが大切だということを伝えたい。

知りたい分野であれば、相場観は自分自身がよくわかっている。知りたいことを調べてまとめるだけで、結果的に同じように悩んでいる人の役に立てるかもしれない。難しく考えず、もうそれでいいじゃないか。

自分インタビューでより「伝わる」記事に

読者となるターゲットのために、いかに役立つ、面白い内容の原稿を作ることができるか。本当に私は、そのことだけを考えていました。それこそが、自分の存在意義だと思っていたのです。
上阪徹著「書いて生きていく プロ文章論」より引用(P149)

内容の選定、インタビュー、まとめを全部自分で回していく。こう考えるとすごく面白いな。個人ブログの醍醐味といえるだろう。もちろん、特定の誰かのために書いている人もいるだろうけど。

これからは、まず自分でいいので、記事を書く対象の人物像を想像していこう。
記事に必要な材料を集めるために、好き勝手に話しまくる自分相手にインタビューを重ねる。たぶんすごく大変だ。

書きたい題材は数え切れないほどある。文章にまとめるのは苦にならない(うまくできてるのかは不問。あとは「自分インタビュー」ができれば、このサイクルはすごくいい感じに回っていくだろう。

結構時間がかかるだろうけど、イメージはつかめた。あとは実践あるのみだ。

また主張の強い記事になってしまったな……この本、個人ブログというか、書くのが趣味な人におすすめな気がしていて、ちょっとそれを次回もう一回話します。次こそうまく伝わるといいな。

↓その後まとめたもの