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読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

有馬かなの生き様が、なぜこんなに胸に迫るのかー【推しの子】感想

【推しの子】2期は2024年夏アニメで決まりみたいだー!次は一番好きだった「2.5次元舞台編」だし、それまでにちまちま読み返しては味わっていこう。

わたしは先日アニメ1期見て、その後コミックス13巻まで一気読みして悶えていた。

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ストーリーは芸能界の闇に迫る、暴露に近いような刺激的な展開がずっと続く。わたしが語りたいのは、そんななかで足掻き苦しみながらも輝き続ける登場人物たちみたいだ。とくに、有馬かな。彼女の生き様がこんなに胸に迫るのは何故だろう…そのことが知りたくて、今日は記事にしてみようと思う。ネタバレあり。

↑丸っこい赤毛のボブに、ベレー帽っぽいのをつけてるのが有馬かな。

人生の柱は役者。演じること

彼女を構成するもっとも太い柱は役者として生きること。子役で一世を風靡して成長とともに落ち目になってしまった彼女に、現在ライトは当たっていない。

アイドルとして活動することになっても、彼女は役者を捨てきれない。浅はかな読者のわたしは、アイドルも大まかにいえば演じることなんじゃないかなとも思ったりしたけど、彼女のストイックさはそれを許さない。
(でも、結果としてすごくいい経験になったことが、本当に嬉しい。)

…その柱は呪いなのかも

自分の中にある重要だと思っている柱って、裏を返せば呪いのようなものだと思う。

昔、ものをつくる学校に行っていた時のこと。友人からの「幼い頃に創作に目覚めた者は、一生その呪縛から逃れることはできない」の言葉が、表情込みで今も脳裏に焼き付いている。

有馬かなにも演じる、表現することが呪縛になっている可能性がある。それでも迷いながら、もがき苦しみながら前に進む彼女が、好きだ。

自分の間違いを認められる人

子役の時に調子に乗って天狗になっていた時期を本人はすごく反省していて、自戒のターンには必ず出てくるほどに、重い過ちとして影を落としている。

そのことで自分に厳しくしすぎたり、不安になることも多いのだけど…自分の間違いを真正面から向き合っている姿が美しいんだ。ちゃんと反省して、もうとっくの昔にへとへとなんだけど、前を向いてまた歩き出す。なんか泣けてくる…こういう真っすぐさがたまんなく魅力的なんだ…

自己犠牲が魅力を削ぐ

彼女にはびこるダメな習慣。これは今までの辿ってきた道からすると仕方がないのかもだけど、自己犠牲の精神だと思う。

調子に乗って、落ち目になって、自分にはもう力がない。新鮮さも、実力も、魅力も、足りない。絶対そんなことはないのに、…いや、本人からしてみたら、わたしの何を知ってるのよ!ってなっちゃうくらい、彼女はいつも孤独の中にいる。(孤独。これは他の登場人物にも共通するかもしれない)

それでも希望を捨てずに、チャンスがあれば自ら掴みに行くハングリーさはある。だけど肝心なところで、いつも不安が頭をもたげて、気を使って譲ってしまう。

周りからみれば、わたしを見て!と強気に、強引にエネルギーを発するところが最大の魅力なのに、彼女の現在の精神がそれを邪魔する。そして魅力が半減してしまう。

わたしは絶対ここを超える日が来るって信じてる。

有馬に幸あれ…有馬の幸せとは?

有馬の幸せを願ってやまない自分がいる。でも有馬の幸せって何だろう。好きな人と結ばれること、役者として成功すること、ちょっとしっくりこない。

いまのところ考える彼女の幸せは、「演じ続ける」こと。思いっきり演じることができる舞台があり、良い作品を作るための切磋琢磨できる仲間がいる。その中でこそ彼女は真の輝きを得ると思う。

そう思うと、東京ブレイドの舞台の時って、かなり有馬の幸せに近かったんじゃないかなあ。というか2.5次元舞台編に出ている役者って、全員すごく幸せそうだったんだよな。

そして日常があることも彼女の重要な幸せの一つだよな。悪態ついたり、茶化したりするターンはこっちまで楽しくなる。ちょっと背伸びしてるのがかわいい。あと意外と影響されやすかったり(よくわかるインターネットうみうしとか)するのも、にまにましてしまう。

【推しの子】は魅力的なキャラが多くて全員について語れそうだ。みんながみんな、泥臭く頑張ってるところが好きなんだと思う。
思考回路が捻じれてたり、ループしてたりもするけどほんと切ないほどにまっすぐで…特に好きな、というか感情移入しちゃう頑張りかたなのが有馬なのかな。

・・・

いやー、ここまでめちゃくちゃ語ったけども。かなり偏った見方をしている可能性が高いので、いち個人の超早口なひとり言だと思って聞き流してもらえたら幸いです。

「推し」っていう言葉は苦手ですが、わたしが推すならきっと有馬です。

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