神保町の呂古書房で手に入れた趣味誌「諏楽(しゅらく)」を読んだ。そこには好きなものを掘り下げた先にある、成熟した趣味の世界が広がっていた。
収集家たちが集う冊子・諏楽
65年前の、1959年に出た個人(もしくはサークル)出版物。切手、切符、宝くじ、パンフレットなど、収集家たちの興味の対象は幅が広い。それぞれが集めたものをやりとりしたり、熱い思いを語るためにこの冊子は存在したようだ。
編集長は幹島文男さんで、この魅力的なくせ字の持ち主と思われる。
冊子はB4版で16ページ。以前はもっと大きかったみたい。わたしはこの大きさに変更してから2、3番目の冊子を買ってきた。1は売っていたのかなあ…欲しいな…
紙面構成は概ね同じで「コラム2つ→雑記録(このあとにまたコラムが挟まることも)→誌友通信→広告欄」と続く。10人以上の収集家達が集ってやいのやいの言ってる感じがして…こういう世界が大好きなんだーーー!!!
成熟した趣味の世界
この冊子からあふれ出る熱量は独特で、なんというか、自分の宿命を受け入れたような成熟した趣味の世界を感じる。
ほしい、ほしい、集めたい…!と欲望のままに集める初期、人と繋がってさらに熱が上がる中期、部屋に納まりきらなくなってうなだれる後期、自分の好きなものを絞ったり、他に欲しい人に譲ったりし始める晩期。
諏楽はその「晩期」の集いなんだと思った。
みんな、自分のあふれ出る収集欲を持て余していた頃のことを思い出しながら、今も胸の中にある収集への思いを大切にしている…もう自分である程度コントロールできるようになったけど、それでも集めていく…そういう大人な趣味に昇華しているのが何とも言えず素敵だなと思う。
特定の地方にしかない切手、切符、パンフレット。こういう収集には、一人でカバーできないところが絶対ある。そういうものをやりとりできる場、コラムなどで自分の想いを伝える場があったことは本当に幸せなことだと思う。
好きなものでつながる"場"があるしあわせ
この冊子のような世界は今もあるのかな?コミケとかってこういう場所なんだろうか?
冊子を作っていた幹島さんは、時には体調を崩しながらも諏楽を発行していたみたい。版の大きさや、載せるものなどにも工夫を凝らして、家庭も仕事もあってものすごく忙しかったろうけど、充実した毎日だったと思う。それができたのも、好きなものでつながる仲間があってのことだと思う。
ああ、いいなあ!わたしの好きなものって何だろうか。読書、編集、花、ブログ、デザイン…たくさんありすぎて、ぱっと「これです!」とは言えない自分がいる。そろそろどこか集中して掘り下げたいなあ。そして行く先にはこの諏楽のような世界が広がる……そう思ったら、もうわくわくして仕方がない。というか、もう絞らず全部くくってまとめちゃう…このブログでまとめちゃうっていうのはどうだろうか?すごくいいかもしれない!
個人出版物の熱量で、高まる気持ち…これ、やりたい!
個人の「好きだーーーー!!!」が詰まった冊子、ものすごく好きだということがわかった。これはサークルだったのかも?だけど、自分たちで出版しちゃうくらい、熱を入れる対象があるということ。誰かとそれを分かち合えることは、幸せなことだと思う。
それに、趣味にもいろんな段階があるということを知った。わたしはまだいろんなことを浅く楽しんでいる段階なので、初期の楽しみ方をずっとしていることになる。そろそろ同志をみつけて、一緒に楽しもうよー!という段階かもしれない。それにはまず、このブログで好きなものを全部まとめちゃうのがいいな、という結論にいたった。
ああ、気持ちが前に行っちゃって行動に移せるだろうか!わたわたしながら、明日からもこうして書いていく。わたしの進む方向性はこれだ。諏楽よ、ありがとう~!