BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

書くこと・伝えることの本質を見つめるー「書いて生きていく プロ文章論」レビュー

今日はもう一度「書いて生きていく プロ文章論」の話をする。前回はちょっと持論を展開しすぎたので、今回は純粋に本の中身を話していこうと思う。

この本はざっくりいえば「使う本」で、「書くってどういうことなんだっけ?」ということの確認作業ができるようになっている。

目次がチェック項目のようになっていて、⚪︎⚪︎しましたか?▲▲に気を配りましたか?と分野に分けていろんな問いが用意されている。

文章を書いたあと、後ろ暗い気持ちの部分に目が留まる仕掛けなのが使いやすいポイント。いくつか読むだけでも、「書くっていうのは誰かが読むってことであって、伝わるようにするためには気配りが必要なんだな」ということがわかってくる。

本を読むなかで、文章で人に伝えるというのはどういうことなのか。読み手の視点を考えながら進めることの大切さを知った。そのことをまとめてみようと思う。

どう書くかではなく何を書くか

まずは前回の復習をしよう。一冊を通して繰り返し語られている大事なことは、「どう書くかではなく、何を書くか」だ。美しい文章を書くのが目的ではなく、取材・インタビューで得た中身が肝心だということ。

ブログでインタビュー形式はあまりないと思うので、個人ブログの場合は自分に取材するイメージがいいかなと思い、以下にまとめてみた。

また、特定の何かについて調べて話すときは、リサーチ力ということになるだろう。どちらにしても、記事の材料をどう集めるかで記事の善し悪しは決定する。

材料集めの基準は、「ターゲット選定」  

じゃあどんな材料を集めればよいのか?この問いの答えは「誰が読むのか」だ。一生懸命集めたとしても、読み手が読みたい内容でなければ意味がない。

わたしの場合、書きたいことはあるけど、ターゲットとかはとくに決まっていなかった。個人ブログでは、ひとまずのターゲットは自分でいいのではないかと思う。自分の求めるものを調べてまとめることで、結果的にたまたま見かけた誰かが救われたらいいねという世界観だ。

特定の層に対して書く場合は、生活や思考など人物像を想像して進めていく必要がある。これは、次の「相場観を知る」ということにつながっていく。

読み手の相場観を知る

 「相場観」という耳馴染みのない言葉が出てきて、少し難しかった部分。これは読む人の価値観、要するに「読者は何を知りたいのか?」のイメージを掴むことなんだと思う。

年代を例にあげれば、高齢の人が若者への記事を書く場合に、説教臭かったり、古臭い表現があると全然読む気にならないだろう。逆に若者が人生について全てわかったような書き方をしていたら、人生の大先輩方は辟易してしまうかもしれない。

ターゲットである読み手の視点に立った、等身大の記事であることが必要で、これが「相場観」ということらしい。

相場観は書店で養う

これはわたしもやってみようと思っていることなんだけど、相場観は「書店に通う」ことでわかるらしい。今求められていること、価値観が書店に並ぶ本を見ることで分かってくるというのだ。そういう目線で書店をめぐったことがないので、次に行った時に試すつもりだ。

インプットからしかアウトプットは変わらない

結局、人間のアイディアというのは、インプットする情報の複合でしかないのだそうです。ということは、インプットを変えないかぎり、アウトプットは変わらないということです。

上阪徹著「書いて生きていく プロ文章論」より引用

この部分にはハッとした。結局のところ、自分の中に入れたものからしか生み出せない。

自分の書き方や思考方法が堂々巡りしている気がするのは、インプットに偏りがあるからなのかもしれない。根本的に見直すためにも、いろんな相場観を養って、自分の相場観の更新もしていきたい。

書いて生きていくうえで、真似したいこと

書いて伝えるためには「どう書くかではなく、何を書くか」「伝える誰かを想定して材料を選ぶ」「読者は何を知りたいのかのイメージをつかむ」ことが大切だということがわかった。ここでは、引き続き書いて生きていくうえで、真似したいなと思ったものを2つ紹介する。

書く仕組みづくり

著者に対して驚くのが、仕事に対して徹底的に仕組み化していること。服装からタスク管理、インタビュー前後の時間配分まで自分なりのかたちができあがっている。

すべては「安定してよい記事を生み出すため」なのがかっこいい。やりたいことに注力するための仕組み化であることを忘れずに、真似したいな。

個人的には、締め切りやアポイントの時間に余裕を持つことの大切さが身に沁みた。すぐぎゅうぎゅうに詰め込みがちなので、見習いたい。

文章のリズムを掴む

わたしが実践するのを一番楽しみにしているのはこれ、「文章のリズムを掴むこと」。 書いていくうちに、自分の文章にはリズムができてくるという。自分のリズムでスムーズに読ませることができるようになれば、独自性が生まれる。

それに気づくポイントは「再読」。誤字脱字や構成の分かりにくさなどの確認がてら、再読をすることで自分のリズムがわかってくるみたいなのだ。

自分の奏でる言葉のリズム…それってすごく楽しそう!! とはいえ、わたしはかなりの再読魔なので、記事を一つ仕上げるのに10回くらいは再読している。

でも、自分のリズムはあんまり分かってないかも…?意識してみて、自分なりの気持ちのよいリズムの刻み方を知りたいと思っている。

大事なことがわかったら、実践あるのみ

はは、まだまだ話せそう。しかし長くなるので、この辺にしておこう。

「書いて生きていく プロ文章論」は、すぐに試せる内容から概念的な部分まで、書くこと・伝えることの本質が詰まった本だ。

基本的にはライター(特にインタビュアー)向けの本だろうけど、ブログとか書くのが趣味な人にも適していると思う。すでに日常的に書いていて、自分のスタイルが決まりかけている人にはさらによさそうだ。

わたしはこの読書ブログで1年以上書き続けて、最近は自分の表現方法がなんとなく身についてきた気がする。でも、思い描く景色が、この表現や構成でちゃんと伝わってるのかな?と不安な気持ちもあった。

この本は、そんな自分にすぐ役立ちそうなことが半分、まだ理解しきれないけど、大事だと分かった部分が半分という感じだ。

わたしは明日からも、引き続き書いて生きていく。しばらく経ったら振り返りでまた読んでみるつもりだ。

その時までに、今日紹介したことが少しでも身についていますようにと願う…んじゃなくて、やる。やるんだ~、納得したら、実践あるのみ、だ。