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読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

【人物編】モモ(ミヒャエル・エンデ作、岩波少年文庫)読書レビュー

モモ (岩波少年文庫)

町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ,「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります……。「時間」とは何かを問う,エンデの名作。

ミヒャエルエンデ「モモ」岩波少年文庫 裏表紙の紹介文より抜粋

先日エンデのメモ箱のレビューを書いたあと、近所の本屋さんで見つけて購入しました。これは…これはなんだ?はじめの3章こそ説明が多くて読み続けられるか不安になったものの、、その後ページをめくるのをやめられません。いま16章(全21章)でクライマックスに向かい始めたところです。読み終える前に整理したいので、お付き合い願います!

✓ 主要な人物3人について、自分なりの解釈

  • モモ…主人公。年齢は8~12歳くらい?孤児院を抜けだして町に住みついた。聞き上手、というか思わず本音で話したくなるような、独特の間合いのある女の子。
  • 道路掃除夫ベッポ…モモと親友のおじいさん。変わった人に見られがちだけど、人とペースが違うだけ。とりあえずで調子を合わせて話すようなことはしない。実直で、自分の気持ちを正しく伝えるために時間をかけて考えて、話す。行動についても同様。
  • 観光ガイドジジ(ジロラモ)…モモのもう一人の親友で、ベッポとは対照的にテンポよく話す。へらへらしてる若者だけど、発想豊かで物語を紡ぐのが上手。夢はお金持ちになること。でたらめ観光ガイドはたまにやってる程度。

ベッポとジジの人となりは、4章「無口なおじいさんとおしゃべりな若もの」でじっくり話してあるので、そこを読んでもらえればわかります。この4章を読んだ後から2人(とモモとの関係)にすごく引き込まれて、読むのがやめられなくなりました。

ーーーモモが、わからない。物語の冒頭から一部を除き「全員、話し上手なモモのことが大好き!」状態で始まるから、正直へぇ…そうなんだ?って感じで置いてけぼり…。めちゃくちゃいい子なことは分かるんだけど、よく話を聞く=人に好かれるの方程式が自分の中で成り立ってないんだと思う。これはわたしが大人になってしまったからなんだろうかーーー

これは半分くらい読んだ時の感想メモです。中盤を過ぎた頃から、モモの人となり、じんわりわかってきます。モモはあんまり自分のことを話さないので、人物像の解像度が上がるのが遅かっただけでした。他の登場人物は詳しい説明が書いてあるけど、主人公のモモだけは一冊の本を通して(モモが思ったこと、話したこと、行動したことを垣間見て)伝わってくる感じです。

そしてジジ…ジロラモ…わたしは5章「おおぜいのための物語と、ひとりだけのための物語」でジジが紡いだ物語がものすっっっごく好きで!心奪われてしまいました。あの切なさ…もの哀しさ…この章は何度も読み返しそうです。こんな調子なので、16章まで読み終えていまの状況に身悶えているところです。。

✓ あ、簡単にあらすじを

人物に対する思いを語りすぎましたね…あらすじはかいつまむと、

「モモと町の人たちは、よく話し、よく遊び、時に仲たがいすることはあってもお互いに理解しあって生きてきた。そこへ灰色の男たち(時間泥棒)が忍び寄り、みんな気付かないうちに忙しなくて、余裕がない世界に社会丸ごと変えてしまった。モモは偶然、その思惑を知る。変わってしまった町の人たちの世界を元通りにするため、ベッポとジジと知恵を出し合い行動していく。」

果たして時間を取り戻し、以前のような町の人々との関係性に戻れるのだろうか。(時間を取り戻しても、以前のようには戻れないんじゃないだろうか……)というのが今の私の気になるところです。

この灰色の男たちが社会を変えていく途中の様子も、読んでいて他人ごとではない末恐ろしさを感じたので話したい。また読み終わったら、あらためて全体をまとめてみます。頭の整理にお付き合いいただき、ありがとうございました!

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