BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

面白いのに!好みじゃない?「夏への扉」読後感

ロバート・A・ハイラインの「夏への扉」をさっき読み終えたところです。後で時間作って感想を書こうと思うとやらないので、今ここで読後感だけ先に残しちゃおうと思います。

というのも、なんかこう…珍しい気持ちだったんですよ。
とても楽しくて面白くって、「好みじゃない」。

何ごとですか?基本全部受け入れて楽しめるほうなので興味深いです。

今日は下書きせず書くので読みにくいところがあると思いますが、お付き合いいただけたら幸いです。(ネタバレ気にされる方は読んだ後にどうぞ!)

あらすじをざっくり

発明家の主人公は経営者の親友と2人で会社を起こしました。発明した商品は世の中にも受け入れられ、会社が急成長している時にアクシデントが。

主人公は新製品開発の志半ばで時空を超えることになります。その先にある世界でみたのは、自分がつくりたかったものがある世界。「これを作ったのは、いったい誰だ?」自分のアイディアが形になるまでの足跡を辿っていきます。

これは物語の断片で、ここに情事や飼い猫のピートが入り混じってぐいぐい読み進めたくなる作品です。

面白いのに…好みじゃない!

ちょっとネタバレ多かったかな、すみません。でもあらすじ読んだだけでも面白そうじゃないですか?実際読んでて楽しかったんですよ。主人公の純粋な作りたいっていう好奇心だとか、こういう展開にしたいからって強引に周りをねじ伏せようと奮闘するところ(ここでいつも飼い猫が的確な凶暴さをみせる)とか。ニヤニヤしながら読んでました。

なのに…物語が終わりに近づくにつれ「ん?!あ、そういう感じ?」となりました。例えるならば、あれよあれよと上空2000mまで急上昇して、どんどん変わる景色を楽しみながら降りて行った先、急に「ボンっ」と音がして…あ、私、パラグライダーしてたんだ。って気がついてゆっくりときれいな芝生に着地した…みたいな気持ちです。

もともとパラグライダーをするために本を開いたようなものなのに、乗ってることを意識した瞬間に目が覚めてしまったような、、伝わってますかね?

この気持ちを何と表現したらと思ったんですが、もうシンプルに、これは好みじゃなかったんだな。と落ち着きました。

だったらどんな結末がよかったのか?

いや、これでいいんですよ。

この部分がこうだったら、あの人がこうしてればとか、シナリオにケチをつけたいわけではない。これは作品として素晴らしく完成されている。

多分、これは方向性の違いってやつです。人生においてどんな気持ちを大切にしたいか、最後はどんな気持ちになりたいか。こんな結末だったらすごくいいのに、それは好みじゃないってことが分かりました。

こうやって好きな作品が分かっていくのかも

転職してから年100冊くらい読むようになりましたが、基本的に何を読むにも好き嫌いがないほうです。なのでこんな気持ちになるのはとても珍しくて、ここに書き残しておくことにしました。

特別に好きなジャンルとかもなかったけど、ハマらない作品を読むことによって好きな作品が浮き彫りになっていくのは面白い体験でした。ちなみに、浮き彫りになったのはフレッド・ホイル「10月1日では遅すぎる」とか、マーク・トウェイン「ジム・スマイリーの跳び蛙」、カート・ヴォネガット「猫のゆりかご」あたりです。

歩んでみたい人生でいったら断然この作品なのに、読後は置いてけぼりにされるのが好きみたいです。

ちなみにこの「夏への扉」、日本で絶大な支持を受けているSF作品だとか。私が常々思っている、この国にうまくハマれてない感もそういうことか…?まあ、出ていく勇気も資金もありませんので、うまく逃がしつつまた明日からもパラグライダーに乗ってきます。

今日は雑多な話にお付き合いいただきありがとうございました。いろいろ言いましたが、「夏への扉」が面白いことは確かです!