BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

親子の関係が変わる瞬間(山本文緒著、絶対泣かない)読書レビュー

親はいつまで経っても子供の世話を焼くものだし、子供は子供で親を頼るものだ…って思いますか?わたしはそうは思いません。 いや、時としてそういうことがあっても良いとは思うけども。その姿は絆のように感じて微笑ましいかもしれないけれども。親離れ、子…

先生だって人間だ。生徒も一人の人間だ。(絶対泣かない、山本文緒著)読書レビュー

働く女性の短編集「絶対泣かない」レビューウィークも2週目の、2日目。だんだんと言語化しにくい人たちになってきました。今のわたしに読んだ後のこの気持ちが表現できるのか…?やってみます。 絶対泣かない (角川文庫) 作者:山本 文緒 KADOKAWA Amazon 秘書…

気持ちは測れない、それでも(絶対泣かない、山本文緒著)読書レビュー

今週も仕事一色になりそうです。働く女性がテーマの小説「絶対泣かない」をレビューしながら、わたしも彼女たち同様になんとか乗り切ろうと思います。 絶対泣かない (角川文庫) 作者:山本 文緒 KADOKAWA Amazon 秘書 : 絶対泣かない 派遣社員 : 働く”領分”…

生きるよるべ、ボコノン教案内(猫のゆりかご、カートヴォネガット著)読書レビュー

週末にカート・ヴォネガットの「タイタンの妖女」を読んでいたのですが、無性に「猫のゆりかご」が読みたくて仕方なくなり、再読しました。 厳密に言うと、ボコノン教でまた遊びたい。遊ばれたい。今日は物語の概要はいったん置いといて、この物語に出てくる…

【時間編・思考中】モモ(ミヒャエル・エンデ作、岩波少年文庫)読書レビュー

先月にレビューしたモモ、【人物編】【総集編】は楽しくすらすらと書きましたが、一番大事かもしれない【時間編】はなかなか考えがまとまりません。今週末はのんびりなので、思考しながら書いてみます。 モモ (岩波少年文庫) 作者:ミヒャエル・エンデ,大島 …

毎日読書レビューするのはしんどい

「絶対泣かない」のレビューウィークも今日が最後…と言いたいところなんだけど、疲れました。出がらしです。 仕事しながら毎日レビューするのは体力的にやばいです。ボロボロになります。家も汚くなってきて荒む。でも自分の気持ちを言葉にして外に出すから…

人は見ている。誠実さは伝わる(絶対泣かない、山本文緒著)読書レビュー

誠実さは伝わるし、ちゃんとやってるのを見ている人は確かにいる。働く女性を描いた短編集「絶対泣かない」レビューウィーク4日目は、デパートで働くお姉さんです。自分が感じたよさを、極力ネタバレせずに伝える試みをしているんですが本当に難しい。伝われ…

人生の泳ぎ方を教わる(山本文緒著「絶対泣かない」読書レビュー)

「他人の期待に応えること」を中心に生きるのは辛い。それに応えられなかった場合はもっと辛い。今日の主人公は、水泳選手だった両親の期待を背負い、幼少期から水泳に全てを費やしてきた女性です。 今週は働く女性を描く短編小説「絶対泣かない」のレビュー…

働く”領分”を考える(山本文緒著「絶対泣かない」レビュー)

働くと一口に言っても、業種はもちろん雇用形態もたくさんあって、そしてそれぞれの領分もある。アルバイトはアルバイトらしく。派遣は派遣らしく。その超えてはいけない”領分”ってなんだろう…とこの短編集の1話「アフターファイブ」を読んで考えこんでしま…

絶対泣かない(山本文緒著、角川文庫)読書レビュー

気の強い女は嫌いでした。ツンツンしちゃってさ、何がいいんだろう。女の人はしなやかで、いつも微笑んでいる女神様のようであるべき、とさえ思っていました。(女は女は、っていうのはもう時代遅れですが、まぁ昔の価値観の話なのでご容赦ください) 今日の…

あと書きが好き

小説でもビジネス書でも、巻末のあとがき、解説まで(むしろ最後の他の本の案内とかまで全部)目を通さないと気がすまない方です。 あとがきには、作者の安堵感(本が出てほっとしてる感じ)が漂っていて、読んでいてほっとします。物語を別角度で捉えた後日…

君はポラリス(三浦しをん著、新潮文庫)読書レビュー

恋愛に疎く、苦手です。恋にまつわる本もあまり読みません。それでもこの本を読んだのは、友達にお勧めしてもらったからです。 恋愛短編集で、30~50ページくらいの物語が11編入っています。著者は恋愛をテーマにした依頼が多いそうで、題材は果たして恋愛と…

ある日、とある古本屋での出来事

先日古本屋に行くと、店主とおじいさんがこんな会話をしていた。 「…と言うことは、買い取ってももらえないと言うことなんだね」 「そうですね、うちは小規模だし、そういった種類は扱ってないんですよ。」 「哲学とか、歴史とかもあるんだけど難しいかな、…

落語でひろがる「好き」の気持ち(こっちへお入り/平安寿子著/読書レビュー)

小説「こっちへお入り」は、アラサーOLが落語に目覚め、日々の生活や周囲もひっくるめて少しずつ変化していく話。私も同じように目覚め、周囲が変わっていった経験があるので共感するものがあった。 主人公は32歳OL。仕事は大変なこともあるけどまあ何とか。…

「古本屋」の世界にもぐる②文学者たちとの交流(昔日の客 読書レビュー)

この間した昔日の客のレビュー、話したりなかったのでまたやります。 ↓本の概要についてはこちらで説明しました books-limelight.com 今回は古本屋店主の著者と、文学者との交流について。敬称を省かせてもらいますが、上林暁、伊藤整、正宗白鳥など、この本…

バカリズムと中谷美紀とわたし(お風呂読書にて)

先日レビューしたバカリズム「架空OL日記」と中谷美紀「ないものねだり」はお風呂で毎日一緒に読んでいた。 架空OL日記は、銀行員で働く女性たちの気だるげな日々をバカリズムが表現するブログ小説。ないものねだりは中谷美紀の女優としての活動の様子や私生…

「架空OL日記」を読んでOLだった日々を思い返す

いつだったか、架空OL日記のドラマを観た。銀行員のOLとして働く架空の彼女たちは、わたしの前の会社の雰囲気にそっくりで驚いた。 前職は、やってる業務はちっとも楽しくないし、なんの役に立ってるかもわからなかったけど、その割に給料がよかった。ほぼ女…

今日の芸術(岡本太郎著 光文社)まとめノート

この記事は、岡本太郎(以下、タロー)の考えを自分の血肉にするためのまとめノートです。著者にちゃんと向き合ったのはここ最近なんですが、なんだかわからないんだけど作品も文章もすごく好きなんです。うまくやるな、きれいであるな、ここちよくあるな。…

ないものねだり(中谷美紀著、幻冬舎文庫)読書レビュー

ないものねだりは、女優・中谷美紀が28歳くらいの時にアンアンに連載していた短編エッセイです。全部で70話も入っています。1話につき約3ページで、演じる日々や私生活のこと、旅行の話など幅広く楽しめます。 どんなに格好悪くても、健康管理のための「赤い…

古本屋の世界にもぐる①(昔日の客 読書レビュー)

先日やっとこの本に出会い、とてもよかったがゆえに感想に悩み、小出しに話すことを選びました。レビューが何回に分かれるか分かりませんがやってみます。 古本と文学を愛するすべての人へ 名著復刊 尾崎一雄、尾崎士郎、上林暁、野呂邦暢、三島由紀夫……。文…

名前が思い出せない小説

最近、昔読んだ本を思い出しては読み返しています。ひとつ、10年前くらいに読んだきりで名前を思い出せない小説があって困っています。 おぼろげな記憶ではこんな話です。 働く女性が主人公。年齢は30〜40代で、失恋したか、他に思うところがあったかでマ…