BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

かつての商店街の痕跡を辿るー吉本ばなな著「下北沢について」を読んで

以前も話したことがあったと思うけど、わたしは商店街が好きだ。先日読んだ「下北沢について」には、かなりたくさんの下北沢の個人商店が出てきた。ざっと書き出したら17店舗。描かれていた時点で閉店してるところも多かったようだけど、調べて痕跡を辿る旅に出てみようと思う。

「下北沢について」に出てくる17個人商店の現在

商店の現在、とかいってみたものの、2016年9月に出た本なので8年前の作品だ(2024年現在)。どこまで追跡できるかなー。やってみよう。

飲食店

まずは飲食店から。本に掲載されている順で調べていく。

イタリアンバル・ダニエラ(営業中)

著者が生ビール、息子はブラッドオレンジジュースを飲んで、ほろ酔いで手をつないで帰っていたというこのお店。今も営業していた。
おしゃれだけど気取らない、居心地のよさそうなお店。いいな。

チクテカフェ

息子が大好きな野菜たっぷりのシチューがあったらしいこのお店は、2012年に閉店。口コミが100件超えるほど人気のカフェだったみたいだ。
【閉店】チクテカフェ (CICOUTE CAFE) - 下北沢/カフェ | 食べログ

イワシの店

店名が載っていなかった「イワシのお店」。食べたいものを注文しても別のおすすめにすり替わるというエンタメ性は楽しそうで行ってみたい。が、店名が分からない。(多分ここ、というのは分かったものの、確信がないので載せないでおく。「イワシの店・下北沢」で調べたら出てくる)

ちなみに、下北は魚が美味しいらしい。わたしの印象ではカレーの街なので、今度は魚を扱うお店散策でもしてみようかな。

せんばさんの八百屋

店主が亡くなってしまい、閉店してしまったそうだ。

わたしも個人でやっている八百屋を見つけたら極力買うようにしていた…が、いまは引っ越してしまいそもそも八百屋がない。ザルに乗ってるトマトとか買うの好きだったなあ。

向かいの駄菓子屋

「下北沢 駄菓子屋」で調べたらココが出てきたけど、多分違うと思う。
駄菓子屋とか全然見ないなあ。十年以上前に新井薬師前に行った時に見た駄菓子屋がわたしのなかの「ザ・駄菓子屋」だった。小さい頃はよく行ってたなあ。

(露崎館)

かつて下北沢に会ったレトロ建築の建物で、いまは老朽化のためなくなっている。写真を見たけどとてもすてきだった。2008年になくなったらしく、わたしがまともに都会に来たときにはなくなっていたみたいだ。見てみたかったなあ。

喫茶 ミケネコ舎

露崎館に入っていたお店で、建物がなくなる時に閉店してしまったらしい。谷中にありそうな、のんびり系の喫茶店だった。
【閉店】喫茶 ミケネコ舎 (キッサ ミケネコシャ) - 下北沢/喫茶店 | 食べログ

レ・リヤン 

ここも同じく露崎館に会ったお店。多分ここも建物がなくなるタイミングで閉めたみたいだ。週末にのんびりランチしたくなるようなフレンチのお店。
【閉店】レ・リヤン - 下北沢/フレンチ | 食べログ

とびら

閉店。口コミを見ると、下北で高評価を受けていたタイ料理屋とあった。洋風な喫茶店の雰囲気をまとった不思議な空間だった。
【閉店】とびら - 下北沢/タイ料理 | 食べログ

マジックスパイス(営業中)

カレー屋さん。現在も元気に営業中。よく並んでいる。ホームページを見たら……お、おう。すごい。普段は絶対に行かない感じだけど、不思議な風が吹いたらいってみよう、かな?

 日本茶喫茶つきまさ(営業中)

夏暑すぎたり、冬寒すぎると甘味処に入りたくなる。こんなところが下北沢にあったんだ?!そう遠くないうちにいくだろう。一人でも入りやすそう。

ティッチャイ(営業中)

なんとなく、入ったことがあるようなないような。タイ料理屋さん。
今も営業しているみたい。著者はタイ料理とかエスニックとかが好きなんだなきっと。

本屋

本屋は全部で5つ紹介する。どれも素敵だった…!今も営業していて行ったことないところもあって、次に下北に行くのが楽しみだな。

B&B(営業中)

本を読んでいた時は「知らないなあ、いまもあれば行ってみたいなあ」なんて思ってたけど、おしゃれ集落?のボーナストラックに入ってるあの本屋だった!!名前知らずに入ってる本屋、結構あるかもしれないな。以前は下北に近い場所にあって、ここは移転先らしい。ボーナストラックに行くときは、世田谷代田駅で下りて~遊歩道を散歩~ボーナストラック散策~下北沢へというルートでいつも行く。そういえば日記専門店みたいなとこでははてなブログのイベントがたまにやってるんだよな、いつも30秒くらいで出てきちゃうので、次はじっくり見てみよう。

ピリカタント書店

このお店は、本のエピソードで実際に感じてほしい。本と食事と日用品を売っているお店だったみたいだ。現在は閉店していて、食べログで残っていた外装写真を見ると清潔感があるのになんとなくごちゃごちゃ観もあるというとても好きな雰囲気だった。うーーん、行きたい。
【閉店】ピリカタント書店 - 下北沢/カフェ | 食べログ

気流舎(営業中)

この本屋は今もやっていた!!雰囲気がいい。不定休でずる休みがあるのもいい。行って、後日ここに情報を更新しようかな。

七月書房(営業中)

2016年に閉店した書店のようだけど、いまもイベントやオンラインで販売しているみたい。こうしてかたちを変えて活動を続けている姿が見れるのもいいな。

ワンラブブックス

この書店も閉店してしまっているが、店長さんが著者にとっての天使のような存在だ。読んでいたら本当に天使かなと思った。こんな風に、困った時の救世主のような存在がいてくれたらなんて心強い人生か。いや、わたしにも気付いてないだけでもういるのかもしれない。

店という名ではあっても個人の巣の中に入っていくあの気持ち……あの自由と狭さとある種の気味悪さ。
吉本ばなな著「下北沢について」より引用

このお店に関する描写だけで、魅力を感じていきたくなっちゃうなあ。

その他

2丁目3番地

このおもちゃ屋さんについては是非本を読んで味わってほしい。親父さんがとても素敵な人だった。もうお店はないのだけど、こんな風に誰かの人生の一部として残っているのがすごく嬉しい(なぜかわたしが)

おそらく元ネタは、昔やってたドラマの名前っぽい。

かつて商店街を構成していた店たち

今日は「下北沢について」に出てくる17店舗の個人商店について、2024年現在の状況をさらっと紹介してみた。飲食店11・書店5・おもちゃ屋1。著者は打ち合せなどもあるせいか、飲食店の紹介が多めだった。本に対する熱い気持ちも込められていて、書店はどれもいってみたくなった。

やはり閉店しているところが多かったが、営業しているところも思ったよりある。味わう可能性が残されている気がして嬉しい。

閉店してしまったお店もネットのおかげで昔の店内写真が見れることが多く、痕跡を辿ることができた。特に内装とかは味わい深かったな。雰囲気が似ているお店が多く感じたのは、著者の好みかもしれない。

商店街の雰囲気がやっぱり好きだなあ

下北沢って、街自体が一つの大きな商店街のような雰囲気があって、その感じはすごく好きだな。しかし、魅力は分かるものの自分の肌が合わないと今まで思ってきた。そして何度行っても馴染めないのがなぜか、分からなかった。

今日こうして調べるなかで、世の中にある「下北沢」というイメージが先行してしまって「自分とは違う」と、知ろうとしていなかったんじゃないかなと感じる。そのくらい、この本に載っている店を全然知らなかった。

まだ下北周辺で営業しているお店も6店あったし、これからも用事で足を運ぶので、まずは知ろうとしてみよう。そしてそれと同じくらい、今わたしが大切に思っている馴染みの商店街についてももっと知っていきたい。

何を得て、何をなくしたのかだけには、自覚的でいたい。
吉本ばなな著「下北沢について」より引用

商店街からはいつも力をもらっている。どんな力をもらったのか、よくわかっていないのでまとめよう。
お店というのはいつも突然なくなってしまう。少しの喪失感は次のお店ができることですぐに去ってしまう。失ったものについても考える時間を持とう。

小さな個人のお店が連なった一つの街。やっぱり商店街の文化がわたしは好きだなあ。

(おまけ)不思議なんだけど、商店街のことを考えていると行きたい、知りたい、それよりか「なりたい」って思う。なんでだろう?商店街になるってどういうことなんだろう。それが知りたい。