BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

小説

話したりないので追記。「正欲」読書メモ

昨日なんとか絞り出してまとめた「正欲」レビューですが、自分が思ってることをうまく言葉にできないままあげちゃったなぁと反省しています。実力不足ってやつですね。まだ書きたいことがあったので、今日はレビューに入りきらなかった、印象に残った部分を…

「正欲」レビュー。決して気持ちのよい本ではない。それでも読んでよかった。

読後感はしんどいのみ。決して気持ちのよい本ではない。でも、自分が今まで見てきた景色が違って見える。朝井リョウの「正欲」はまさにそんな本だった。途中、しんどくなりだいぶ減速して、そのうえ元々悪かった体調もさらに崩した。後ろめたい気持ちが止ま…

病が教えてくれたものを背負い、前に(山本文緒著、シュガーレス・ラヴ)読書レビュー

まだいける、まだ頑張れる。そういう気持ちの時ほど限界が近く、体はついてきてくれないものだと思う。 今日の本「シュガーレス・ラヴ(山本文緒著)」は、仕事、恋愛、家庭などによって体が蝕まれてしまった10人の女性の短編集。自律神経失調症、睡眠障害、…

コンビニ人間に共感したわたしは、「こちら側」の人間

コンビニ人間を再読した。ハンチバックを読んだ後、同じ芥川賞作品として思い出したのと、Audibleにもあったため。読んで、そうだった。わたしは「こちら側の人間」だった。と思い出して、結構深めに落ち込んでしまった。 コンビニ人間 (文春文庫) 作者:村田…

芥川賞受賞作「ハンチバック」を読んだら考え込んでしまった

“生きた証を残したい”っていうのは、いつ頃から芽生える感情なんだろう?わたしはこれまで生きてきて、あまり考えたことがないかもしれない。そんなことより仕事、家族、趣味、毎日やるべきこととやりたいことで精一杯だったりする。 ハンチバックを読んでか…

罰に怯えながらも罪を犯すとき、人は(遠藤周作著、海と毒薬 読書レビュー)

これは自論ですが、どんな人でも10回選択を誤ると犯罪者になる、と思っています。わたしも、あなたも、どんなにいい人でもです。 この「海と毒薬」は、昭和初期に実際に起きた、大学病院での生体解剖実験がもとになっています。この史実をベースに、架空の登…

女同士の距離感(山本文緒著、絶対泣かない読書レビュー)

女同士の友情は割と薄情である。と思う。 それは、女にとって自分の役割…というか立ち回りが変わる瞬間は割とたくさんあって、その都度共感してくれる人を探すから。あまりに生き方が変わってしまうと、自然とあっさり会わなくなってしまうものだ。 今日話す…

親子の関係が変わる瞬間(山本文緒著、絶対泣かない)読書レビュー

親はいつまで経っても子供の世話を焼くものだし、子供は子供で親を頼るものだ…って思いますか?わたしはそうは思いません。 いや、時としてそういうことがあっても良いとは思うけども。その姿は絆のように感じて微笑ましいかもしれないけれども。親離れ、子…

先生だって人間だ。生徒も一人の人間だ。(絶対泣かない、山本文緒著)読書レビュー

働く女性の短編集「絶対泣かない」レビューウィークも2週目の、2日目。だんだんと言語化しにくい人たちになってきました。今のわたしに読んだ後のこの気持ちが表現できるのか…?やってみます。 絶対泣かない (角川文庫) 作者:山本 文緒 KADOKAWA Amazon 秘書…

生きるよるべ、ボコノン教案内(猫のゆりかご、カートヴォネガット著)読書レビュー

週末にカート・ヴォネガットの「タイタンの妖女」を読んでいたのですが、無性に「猫のゆりかご」が読みたくて仕方なくなり、再読しました。 厳密に言うと、ボコノン教でまた遊びたい。遊ばれたい。今日は物語の概要はいったん置いといて、この物語に出てくる…

【時間編・思考中】モモ(ミヒャエル・エンデ作、岩波少年文庫)読書レビュー

先月にレビューしたモモ、【人物編】【総集編】は楽しくすらすらと書きましたが、一番大事かもしれない【時間編】はなかなか考えがまとまりません。今週末はのんびりなので、思考しながら書いてみます。 モモ (岩波少年文庫) 作者:ミヒャエル・エンデ,大島 …

人は見ている。誠実さは伝わる(絶対泣かない、山本文緒著)読書レビュー

誠実さは伝わるし、ちゃんとやってるのを見ている人は確かにいる。働く女性を描いた短編集「絶対泣かない」レビューウィーク4日目は、デパートで働くお姉さんです。自分が感じたよさを、極力ネタバレせずに伝える試みをしているんですが本当に難しい。伝われ…

人生の泳ぎ方を教わる(山本文緒著「絶対泣かない」読書レビュー)

「他人の期待に応えること」を中心に生きるのは辛い。それに応えられなかった場合はもっと辛い。今日の主人公は、水泳選手だった両親の期待を背負い、幼少期から水泳に全てを費やしてきた女性です。 今週は働く女性を描く短編小説「絶対泣かない」のレビュー…

働く”領分”を考える(山本文緒著「絶対泣かない」レビュー)

働くと一口に言っても、業種はもちろん雇用形態もたくさんあって、そしてそれぞれの領分もある。アルバイトはアルバイトらしく。派遣は派遣らしく。その超えてはいけない”領分”ってなんだろう…とこの短編集の1話「アフターファイブ」を読んで考えこんでしま…

絶対泣かない(山本文緒著、角川文庫)読書レビュー

気の強い女は嫌いでした。ツンツンしちゃってさ、何がいいんだろう。女の人はしなやかで、いつも微笑んでいる女神様のようであるべき、とさえ思っていました。(女は女は、っていうのはもう時代遅れですが、まぁ昔の価値観の話なのでご容赦ください) 今日の…

君はポラリス(三浦しをん著、新潮文庫)読書レビュー

恋愛に疎く、苦手です。恋にまつわる本もあまり読みません。それでもこの本を読んだのは、友達にお勧めしてもらったからです。 恋愛短編集で、30~50ページくらいの物語が11編入っています。著者は恋愛をテーマにした依頼が多いそうで、題材は果たして恋愛と…

【総括編】モモ(ミヒャエル・エンデ作、岩波少年文庫)読書レビュー

前回話してたモモ、読み終わりました~、約400ページ。いやあ、あっという間でした。読みやすくてぐんぐん読んじゃいましたね。 books-limelight.com さっそくですが結末の感想は、…そうか!これ児童文学書か!でした。お子さんが読んでも大丈夫な、ほっとす…

【人物編】モモ(ミヒャエル・エンデ作、岩波少年文庫)読書レビュー

町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。町の人たちはモモに話を聞いてもらうと、幸福な気もちになるのでした。そこへ,「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります……。「時間」とは何かを問う,エンデの名作。 ミヒャエルエンデ「モモ」…