BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

タイトル:【7月第1週】ある日の読書記録~夏への扉、苦役列車、人間そっくり~

夕食後に一旦解散して、それぞれ好きなことをする一週間でした。家族はエルデンリングに熱中、私は本を読みブログを書く。このところ週一更新が続いていましたが、お陰様で書く感覚が戻ってきた気がします。

今週は気分のアップダウンが面白くてですね、波乗りのようでした。やばい!と思ったらリカバリーして持ち直す、そういうのがことごとくうまくいったからこうやって笑って話せているわけですね。危ない危ない。

読書面では「今、あえてこれを読みます!」みたいな取り合わせにしてみました。優しく背中をさすってくれる本では、なんだかだめだと思ったからです。

そんなわけで、「夏への扉」「苦役列車」「人間そっくり」の話をしていきます。

ロバート・A・ハインライン「夏への扉」

先週に引き続き、月・火で読み終えました。発明家×猫のタイムトラベルSFということになるんでしょうか。自分が発明したものがタイムトラベルした先にあり、これを作ったのが誰なのかという謎を解き明かしていく…なんだか映画を観ているように情景が浮かぶ小説でした。

先日も話しましたが、読後感が珍しくあまり好みではありませんでした。しかし、だからと言ってこの作品が嫌いなわけではないんですよ。主人公のダニーが根っからの発明家で、その姿を見ているだけでずっとわくわくしていました。

彼の中では、仕事とプライベートは関係がなく、研究は人生そのもの。不自由なく研究がしたいから、お金も環境もそのために整える。ここに思考回路のねじれがないことがうらやましく感じます。

しかし彼が終始抱えるのが人の難。周囲に恵まれず人を信頼できなくなっている彼が考えを改める場面が印象的でした。

なんどひとに騙されようとも、なんど痛い目をみようとも、結局は人間を信頼しなければなにもできないではないか。
ロバート・A・ハインライン「夏への扉」P291 より引用

この言葉が響きましたね。今までの流れを読んでいるとなおさらでした。

西村賢太「苦役列車」

いつか、ひどい気分の時に追い打ちをかけるように読もうと思っていた本です。思ったより早めの登場になりました。

1ページ目から性描写?みたいなのがあって先に進めるか心配になりましたが、主題の方に気持ちが向いたので最後まで読み切れました。

私小説を書くって相当な覚悟が必要なんじゃないでしょうか。もちろんフィクション要素もあるんだろうけど、人生をここまでさらけ出すことへの畏怖?のようなものが湧き出てきました。

著者にとっては、小説を書くことは救いであって、祈りみたいな行為だったのかなあ…とも感じつつ、思いっきり一蹴されそうな気もするのでこれ以上は黙っておこうと思います。

今日、読書レビューも書いてみました↓

阿部公房「人間そっくり」

苦役列車でかなりくらった後、すぐ何か読みたくなり本棚を眺めるもあまりピンとこず。ひたすら意味わかんなそうなものが読みたいなと裏表紙を見ていくなかで一番魅力的に見えて選びました。

主人公は「こんにちは火星人」というラジオ番組の脚本家。ある日、自称・火星人の男が家にやってくるというトンデモ展開には、にやにやしてしまいます。

とはいえ土日はなんだかひたすら眠くって。うとうとしながら読んでしまったので、明日また頭から読もうかと思っているところです。

読んで書いて、もうそれだけですっきり

今週は本も読めてブログも書けて、久しぶりに昔に戻ったような生活ができました。昔と言ってもたった半年前だけど。こうやっているだけで頭のもやが晴れるのが本当に不思議です。本とブログがあれば気持ちよく過ごせるんだから、人と話すのもおっくうになってきちゃいます。

ただ私は2025年の今を生きているので、現実世界に溶け込みつつ、この生活を続けたい。全部つなげちゃいたいとも思っています。これは欲張りなのかなあ。

「夏への扉」のダニーみたいに、目的に迷いのない人に憧れます。ただ、その人もまた別のところで悩んでる。この行き止まりをどう進むか、物語の一番面白いところじゃないかと思ったりもします。