BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

ままならない人生は、現在進行形(百年の孤独レビュー)

先週末、百年の孤独を読み終えた。マコンドという土地と、ブエンディ―ア一族にまつわる物語。

感想に迷って3日も経ってしまった。こねくりまわしてもうまくいかなそうなので、今日は今の率直な気持ちを書きながら最終的な感想にもっていこうと思う。

わたしは移り変わるブエンディ―ア家をみていて「理想の死に様」「理想の生き様」について考えていた。あとは、反面教師的なことも…

それぞれ、思うに至った登場人物がいるので、人となりの紹介とともに話していこうと思う。

文庫本の話で持ち切りのいま、単行本で読んだので「ブエンディ―ア」だし「アウレリャーノ」「テネルーラ」なのはお気になさらず。

理想の死に様は、ホセ・アルカディオ・ブエンディ―ア

6代にわたるブエンディ―ア家のはじめの人。統率力と探求心が強くてそれをいったりきたりしているのが魅力的(周りは大変)なんだけど、最も惹かれたのは彼の最期だった。

彼は、周りからは自分を失ったようにみえていたけど、実は亡くなった人と過ごしていた。亡きその人は、昔のそれとは違っていて、とても落ち着く存在になっている。

彼は現実世界から離れて、過去でもなく未来でもない、独自の自分の世界に入り込んでいくようにみえた。そして、実はみんなそうなのかもしれないとも感じた。

よく、認知症になると喋らなくなって言葉が交わせなくなるというけど、こういう側面があると思えないかな?これは多分、わたしの願いなんだけどさ。意志の疎通ができなくなっても、ホセ・アルカディオ・ブエンディ―アのように、自分の中で物語が続いていたらいいなと思う。

理想の生き様はウルスラ・イグアラン

さっき話したホセ・アルカディオ・ブエンディ―アの妻。理想…とまではいかないかもだけど、理解しがたい行動が多いブエンディ―ア家の良心的存在だと思っている。

イメージとしては、肝っ玉かあちゃんみたいな感じ。家の管理、しきたりを適度に大切にして、生活の基本的なことをしっかりと大切にしているところが好きだった。しかも商才まである!

若い時はしおらしかったり、鬱屈とした雰囲気があったりしてた気がするけど、アルカディオだのアウレリャーノだの子孫たちが好き勝手やりはじめてからはウルスラのツッコミに安心を得ることが多かった。

「この家の者だもの、おかしいところがあっても仕方がない」的なことを言ってることがあって、ほんと、そうかもと思ったりしていた。

ちなみに、著者のガルシア・マルケスの祖母はランキリーナ・イグアラン・コテスと言うらしく、きっとウルスラはおばあちゃんを投影した人物だったってことだよね。

反面教師のアマランタ

さっきの夫婦の子供の中にアマランタっていうやべーやつがいて…こんなことを思うのにも2つの理由があるので、聞いてほしい。

不幸を願う

自分の想い人とうまくいかないからと、想い人の恋人(姉妹なのに!)の不幸を祈り、時には負の行動をする…

これは自分にはない属性なので、うわー、フィクションでよかったあーですむくらい。わたしが着目するのは次の部分。

自罰しながら生きる

自分を好いていてくれる人がいて、自分も好いている。しかし、どんなに想いを告げられても、言い寄られても、逃げつづける。

超こじらせ、めんどくさい…。前半にあった行動などの罪悪感からか、自分は幸せになってはいけないと思っているんだと思う。

それはそうかもしんないけど、だとしたらいっそ気をもたせたりしないで、接触の機会をすべて失ってはどうかな?!じゃないと、相手が可哀そうなんだよ………

しかしながら、認めたくないんだけどさ、この自罰的傾向、うーーっすら自分に思うところがある。相応しくない、そうあってはならない。と変にこじれている部分がある気がする。恋愛とかじゃない部分だけど。

自分の中にある矛盾が膨れ上がるとこうなってしまうのかな…

でも…わたしは人の不幸を願ったりするくらいなら自分の楽しいことを追求する人間だよ。アマランタを同一視するのはやめよう。反面教師として、こういう人間がいたことを覚えておこうと思う。

ままならない人生は、現在進行形

土地の歴史だったり、家系だったり、百年の孤独には色んな側面があると思うけど、わたしの心に残ったのは人々の個性の部分だったみたいだ。

今日話した部分以外にも、切なさあり、虚しさあり、なんだかファンタジーな側面もある。こうやって感想を書いてみると割と楽しんで読んでたんだな。

いろいろ書いたけど、有能でも無能でも、知ってても知らなくても、「ままならない人生は現在進行形」というのが自分の感じた感想かも。そう思うと、逆に落ち着いてくるんだよなあ、読み終えたいまはなんだか凪にいるような、どうしたらいいかわかんない感じ。

本当にこの物語みたいなもんなのかもしんないですよ。わたしたちの人生は。

もともと読書会に参加したくて読んだので、感想も一旦吐き出したし、参加してこようと思う!

文庫本も読もうか迷い中。訳者は同じようだけど、ニュアンスが変わったりしているのかなあ?