友人に勧められた海外アニメにハマった。その名も「ミッドナイト・ゴスペル」。直訳すると「真夜中の福音(ふくいん)」、巷では「見る幻覚剤」とも言われてるらしい。このタイトルだけでもう惹かれてしまう。
この作品は、2020年にネトフリアニメとして配信されたもので、昔よく見ていたアニメ「アドベンチャー・タイム」のペンデルトン・ウォードが監督。絵のタッチがまんまなのですぐわかった!
全8話、とりあえず一周したものの、内容がすごすぎて全然説明できない。キーワードを拾い集めると、「ドキュメンタリーアニメ」「ポッドキャスト」「インタビュー」「思想」「哲学」「瞑想」といったところだろうか。
もう今日は、伝えようとするのを多少すっ飛ばしてでも、今感じている心の震えがなぜなのか、どうやったらもっと理解できるのかを探っていく。
かいつまむとこんな物語
主人公のクランシー・ギルロイはトレーラーハウスに住む一人暮らしの青年。職業はスペースキャスター(宇宙配信者)で、実際のところは日本でいう自称ユーチューバーという感じだ。
シミュレータという装置に首を突っ込み、今日も並行世界の住人たちにインタビューをしていく。
現実と交差する構造
クランシーには「本体」の人間がいる。ダンカン・トラッセルというアメリカのコメディアンだ。この人物はポッドキャストでいろんな人物へのインタビューを配信していて、その数は当時で300、2023年6月時点で500にものぼるという。
どうやら、クランシーが異世界の住人と話している時は、このポッドキャストの配信がそのまま流れ、アニメーションがくっついてるという仕組みらしいのだ。
もうこの時点で面白くてクラクラしてくる。
テーマは哲学・思想・瞑想?
さて、ここからが分からないんだ。各話のタイトル、ゲストと推定のテーマは以下の通り。
- 第1話「王の味」
ゲスト:ドリュー・ピンスキー(Drew Pinsky)(医師)
推定テーマ:薬物依存 瞑想 - 第2話「士官とオオカミ」
A・ラモット(Anne Lamott)(小説家)
死生観 愛 - 第3話「家を持たない狩人」
ダミアン・エコールズ(Damien Echols)(元死刑囚)
魔術 密教 悟り - 第4話「自らの終わりに惑わされ」
トゥルーディ・グッドマン(Trudy Goodman)(心理学者・マインドフルネス提唱者)
許し 孤独 傾聴 マインドフルネス - 第5話「 喜びのせん滅」
ジェイソン・ルーヴ(Jason Louv)(作家)
世界の本質と虚無性 実存主義 - 第6話「誇り高きハゲタカ」
デヴィット・ニックターン(David Nichtern)(作曲家、仏教指導者、瞑想家)
人間の生理的欲求 瞑想 - 第7話「月食のカメたち」
ケイトリン・ドーティ(Caitlin Doughty)(火葬技師)
死の概念 ビジネスとしての「死」 - 第8話「銀のねずみ」
デニーン・フェンディグ(Deneen Fendig)(トラッセルの母)
死に向き合うこと 輪廻
※推定テーマは一周見て、ネットでいろいろ調べて仮でつけたもの。これから深めて書き直す予定…!
総括すると…なんだろう、相当ざっくりいえば「生きることへの捉え方まとめ」だろうか?それを、ゲストそれぞれが深めた世界を通じて、"福音"として脳に直接語りかけてくる感じ…??
インタビュー自体はリラックスした雰囲気で、途中に談笑をはさんだり、和やかに進むものが多い。
わたしは4話に深く共鳴して、全話見る間に3回もみてしまった。(驚くことに、それでもちゃんとは分からない。)
分からなくても心が確かに震えていて、詳しく話そうとしたら文字数がすごいことになったので次回にさせてもらう。
4話を深めていくなかで、作品が言いたいことを取り込むには、1話ずつ内容を洗い出して精査していくしかないと感じた。
「意味」は分からないが、わたしの求めるものがここに
薬物、宗教、魔術、瞑想などテーマはさまざまで、それぞれの分野に特化したゲストへのインタビューは言葉選びに独特な重みを感じる。
何かを突き詰めていくと、多くを話さなくても伝わる量が大きいのだと思う。
しかも、そこに意味深に軽快なアニメーションが加わることで、中毒性のあるメッセージに変換されていく。見終わった後はわたしがわたしでなくなるような、不思議な感覚に囚われる。これが幻覚作用なのか…?
ただ私には教養がないので…話を聞くベースがないので…理解しきれないところが多いのがもどかしい。
うーん、話していたら見えてくるかと思ったのだけど、わたしがミッドナイトゴスペルに見出す「意味」が分からない。でもどうしようもなく惹きつけられている。
ゲストの著作を調べてみた
何か手がかりになればと、出演ゲストの翻訳されている本を調べてみたので、ここに載せておく。
・「 ひとつづつ、ひとつづつ、書くことで人は癒される(バード・バイ・バード)」
2話、アン・ラモットの本。この本はアニメをみてなくても読んでみたい。
・「ウエスト・オブ・メンフィス」
3話、ダミアン・エコールズの映画。これは映像だけど…内容が内容なのでみるかはわからない。チャットGPTに聞いたところ『ハイ・マジック:自由への霊的探求』が翻訳されているらしいのだけど、ネット上には見当たらなかった。
・「煙が目にしみる:火葬場が教えてくれたこと」
「世界のすごいお葬式」
7話、ケイトリン・ドーティの本は2冊あった。1冊目は火葬場に勤める著者のノンフィクション作品。そして2冊目では葬儀社を経営しているとある。気になる…!
・「ビー・ヒア・ナウ」
8話、ラム・ダス の本。登場していたらしいんだけど気がつかなかった。
あとは1話のドクター・ドリュー・ピンスキー著「Cracked: Putting Broken Lives Together Again」もあるらしいのだけど、ネットには見当たらず。
全体的に、翻訳されている本が少ない印象だった。4話のトゥルーディに至っては著作がない(あんなにすごいことを言ってるのに、本を書いてないのはなぜなんだ?!)。
あー、英語ができればまだやりようはあるのになぁ。何か方法はないか。アニメをもう一周して様子を見るか?ピックアップした本をとりあえず読んでみようか。
4年前のアニメなのでちらほらとレビューが落ちているものの、この作品に対して自分の見解を持ちたい。わたしなりの深め方を考えている。
(おまけ1)最終話の母との対話は、わたしの中にまだ入れられそうになく、あえて浅く見た。心の準備ができていない。あー、なんだー、このアニメは。絵の軽快さとのギャップにやられる。
(おまけ2)ちなみに…一周して気がついたこと。どうやら友人の言っているアニメはこれじゃないっぽい。どうも説明と全然違う。今度あったら確かめよう。