いつか、自分の好きなジャンルの話が好みの文体で書かれていたらいいなあ…と夢みていたら、ついに出会えた。シュライエルマッハー「独り思う(独白)」だ。
一度通して読んだものの、気持ちが昂ってしまい感想がうまく書けない。でも、どれだけ時間がかかってもまとめよう。まずは一旦、出会えた喜びを吐き出していこうと思う。
購入を決めた「掴みの言葉」
この本には前書きとして、贈呈のことばが寄せられている。たった2ページの文章に気持ちが鷲掴みにされて購入し、最後の1ページまでわたしの心を揺さぶり続けた。
たましいの奥底で自分が自分とかわした独白(ひとりごと)ーこれ以上にうちとけた贈り物があろうか。
この世で一番秘めやかなものを、それは相手に贈ることなのだ。ひとりの人間の何者にもしばられない本質を、あけすけに、じゃまされないで、のぞきこむことを、それはかなえてくれる。
シュライエルマッハー著「独り思う」より引用
ブログや趣味でつくったり書いたりしたことがある人には、胸に響くものがあるんじゃないかと思うんだけどどうだろう?
たとえ脇から横目でぼくたちの宝石を調べ、(中略)まがいものくさいというようなことをきみに洩らそうとする者があっても、そういうあらさがしや気の抜けた嘲りにひっかかって、せっかくの喜びを奪われないようにしてほしい。ぼくも、ぼくの持っていたものをきみに分ったことを、決して後悔などしないであろう。
シュライエルマッハー著「独り思う」より引用
この言葉で、この絆で、わたしの日頃から思ったり考えたり書いたりしている行為が浮かばれていく。後に続く文章でもずーっとずーっと浮かばれていく。わたしはいま気持ちがどこまでも軽くて、胸が熱くて仕方がない。
キーワードは「内省」「思索」「自己形成」
シュライエルマッハー(シュライアマハー)は主に神学・哲学・宗教などに通じた人で、この本は少し毛色が違うらしい。わたしはかなり古いバージョンを読んだのでタイトルが「独り思う」だったけど、原題は「独白」。
以下5つに分かれたテーマに沿って、エッセイというか詩というか…まさに「独白」が展開されていく。
- 内省
- 検討
- この世の見方
- 展望
- 若さと老い
まず「内省」で自分自身を見つめなおし、これまでの経験から「検討」を重ねる。さらに「この世の見方」を策定して、未来の「展望」を描いていく。目的が定まった後は「若さと老い」で残り時間を意識する。
内容のキーワードをあげると「内省」「思索」「自己形成」という感じだと思う。
説明できないこの素晴らしさが浪漫主義
読んだ後、感情があふれてきてしまい、まだ具体的にこの部分が素晴らしくて…と説明できない。ただ、自分の中で「探していたものは、これだ…!」がとまらない。
一体なにがこんなに自分の胸に響いてくるのか。訳者の秋山英夫による解説に、こんなことが書いてあった。
この本は、その標題(タイトル)から文体(スタイル)に至るまで、またその成立史から内容に至るまで、ことごとくが「浪漫主義」そのもの
シュライエルマッハー著「独り思う」より引用
付け焼き刃的に調べたところによれば、浪漫主義とは「理性・合理性よりも感情を重視しており、個人の自由や自然との一体感を追求した精神活動」を指すらしい。
また浪漫主義文学は、感情的表現や個人の内面世界を深く掘り下げることが特徴……これ、わたしが日々ブログでやっていることに近いのでは…?!と勝手に感情移入してしまう。
ああ、はやく噛み砕いて、でもじっくり味わって、自分なりにこのことをまとめたい!!
求めていた考え方、文体がここに
いつか、ジャンルも書き方もぴったりあう、自分の理想の本に出会いたい(たぶんなくて、自分で書くしかないのだろう)と思っていた。そしたら、200年以上も前の年下の人(彼は31歳でこれを書き上げた)が書いてくださっていた。
この「独り思う(独白)」は、著者自身の内面世界を詳細まで描き、自己形成の重要性を説く内容になっている。
日記やブログを書いて自分を見つめることにしっくりくる人や、創作などを通じて自分を構築する感覚を得たことがある人には響く部分があると思う。
ちなみに内容・文体ともに「浪漫主義そのもの」らしい。世界史・日本史ともに壊滅的なわたしは、はじめて浪漫主義と向き合うことになったのだった…
わたしはこの文体が大好きだけど、まどろっこしいのがだめな人はしんどいかもしれない。
この本のレビューは3部作にするつもりだ。今日は出会いの喜びを書いた序章、2つ目はもう一回読んで少し離れた視点から本自体のレビュー、3つ目は自分なりに噛み砕いて思索したエッセイベースという感じ。
そう簡単に冷静になってまとめられるかな?やってみよう。ああ、出会えたあの日の巡り合わせに感謝している。でも、ただ感動するだけでは終わらせない。内容を掘り下げて、自分で繰り返し考えて、最終的に行動につなげるつもりだ。
内省的で動けないことが多いわたしでも、この本の考え方を応用すればうまくいくと信じている。
あふれんばかりの思いをひとまず言葉にしたところ、暑苦しいレビューになって笑っている。テンション上がってても、淡々と的確に伝えられる人になりたい。