BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

本の感想がまとまらない④満たされちゃって書けないときは、読んでまた書く。

先日読んだ内省と自己形成に関する本「独り思う(独白)」に心底満たされてしまい、惚けている。ブログにまとめることもできず他の本にも手がつかない。これからだっていうのにまったく…!

この本、わたしの悩みをことごとく無効化して激励までしてくれる内容で…しかもわたしの胸に響きやすい、感情に訴えるような言葉遣いで書いてくれている。

前回は出会いの喜びを綴り、今回は本全体の概要を話すつもりだった。しかしまとめようと思うと気持ちが盛り上がってしまい、全然冷静に書けない。

しかし、この本はわたしの心の柱になることが確定している。何ヶ月かかってもまとめるつもりだ。こういう時の一歩目はどうしたらよいのだろう?

手がかりを探しに「読みの整理学」「孤独のチカラ」を再読したので、これをもとに作戦会議をしていく。

読みの整理学…ベーター読みの作法

「思考の整理学」で知られる外山滋比古は、読むことに特化した「読みの整理学」も書いている。

読み方について、既知の内容を読む「アルファー読み」と、未知の世界を読む「ベーター読み」に分類して紹介している。

わかりやすい文章でただ知識量を増やす読書と、試行錯誤して読み進め、知識の質を上げる読書と言い換えることもできる。

わたしにとっての「独り思う」は、未知なる精神世界に足を踏み入れるという意味でベーター読みになるだろう。知らないことを知るためのアプローチとして、本書であげているのはくりかえし読むこと。

ベーター読みは難しい内容の本をくりかえしくりかえし読むことによって到達できる。素読はその好例である。素読でなくても、十回、十五回と読み返すうちに、未知を読むことは自然と体得できる。どんなにわからない文章や本でも、反覆読んでいれば、そのうちにわかってくる。(P157)
外山滋比古著「読みの整理学」より引用

音読したり、体に染み込ませるように何度も何度も読む。

一度読んだだけじゃ、回路が一瞬つながっただけだ。電気はすぐに消えてしまう。いまの私は、一瞬ついた電気の美しさに惚けているんだろう。この気持ちを持続させるためには、愚直に読むしかないみたいだ。

ちなみに「独り思う(独白)」は難解に美しい文章だ。こんなに心動かされながらも、正直まだ2割位しか分かってないという哀しい自信がある。

ベーター読みで読むものは既知ではないから、アルファ―読みのように再認、認知の方法ではわからない。見抜く力、洞察力、想像力によって解釈する。(P208)
外山滋比古著「読みの整理学」より引用

自分の中に入れるためには、能力を総動員して取り込むことが必要なんだな。

孤独のチカラ…地下水脈で偉人たちとつながる感覚をもつ

次は齋藤孝著「孤独のチカラ」。今の職場に入る前、休み期間中に読んでいた本で、あの時はピンとこなかった言葉をじんわり思い出して再読した。

脱力タイムズなどに出演していて柔和な印象がある著者だけど、大学生の頃は内に潜む激しさから孤独感に苛まれ、苦しい時を送っていた時代があった。この本には、単独者として世界を深めるためのいろんなアプローチが載っている。

私にとっての孤独のイメージは、自分が偉人たちと地下水脈でつながっている喜びでもある。(P180)
齋藤孝著「孤独のチカラ」より引用

過去の偉人たちと、地下水脈でつながる経験…ようやくわたしも「独り思う」でこの感覚を得られそうで、本当に嬉しい。そして精神を掘り下げていくには、本を媒介するといいとある。

書物が、地下水脈までの穴を掘り下げる<ドリルの役目>を果たしてくれるからだ。読み終わる頃には、その主人公がナビゲーターとなり、精神の深部へと自然に導いてくれる。(P181)
齋藤孝著「孤独のチカラ」より引用

奥底で「つながる」ため、掘り下げるために読む。このつながりを強力にしていく必要がある。そういえば漫画家の水木しげるは、ゲーテをかなり読み込んでいたとエッセイで読んだことがある。きっと地下水脈で深くつながっていただろうな。

惚けてないで、読んで書いてまとめる

わたしには、自分の中に取り込みたい本がある。まとめたいのになかなかうまくいかないので「読みの整理学」と「孤独のチカラ」を読んだ。

「読みの整理学」では、ベーター読みの作法として繰り返し読むこと、そして見抜く力、洞察力、想像力を駆使して読むことが大切だとあった。

「孤独のチカラ」では、地下水脈で偉人たちとつながる感覚を得ることの重要性、本を媒介にすることで精神の掘り下げは手掘りからドリルに変わるくらい変わるのだということが書かれていた。

これから深めていく「独り思う(独白)」は、今後のわたしを形作るために必要な本だ。一応、もう何度も読んでいたりするんだけど、付箋をつけたところばっかりだった。

繰り返し通読・精読して、シュライエルマッハーの考えをわたしのもっと深いところに入れていきたい。

具体的には、やっぱり書くことと連動して進めるのがよさそうだ。印象に残った部分を書き出せば、想像したもの同士がつながったり、イメージがより鮮明になる感覚がある。精神の掘り下げにもなる。

いつもブログでやってることではあるけど、2冊を読んでこの考えがより強固になった感じがする。

ここにまとめられるのはいつになるやら…気長にお待ちください。それでは、また読んできます。