BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

世田谷美術館「雑誌にみるカットの世界」に行ってきました。

わたしは雑誌の「カット」が大好きです。

「カット」というのは、雑誌や新聞、リーフレットのところにちょこっと載ってる挿絵(イラスト)のことです。わたしの職場では見出し部分の装飾のことを指していたりもします。

好きだけどなかなかうまく作れず、いろいろ調べるんですが、調べ方が悪いのか専門のサイトや本が見つからない…なので、雑誌を切り抜いたり、ページごとファイリングしたりしてアナログな集め方をしていました。

ある日、思ったより残業しちゃったな…と帰り道にとぼとぼ歩いていると、こんなポスターが。

「雑誌に見るカットの世界」って…まさにじゃないですか!!19日までで終了間際だし、早速見に行ってきました。たっぷり堪能してきたので記録として残しておきます。

メイン会場かと思ったら、分科会場の2階でした(それでもとても広くて見応えたっぷり)。2階だけだと観覧料が200円と破格でラッキー!わたしはメイン会場も見ることにしましたが、それでも500円とお得で嬉しかったです。

2つの雑誌のカットを紹介

展示では、2つの雑誌のカットを紹介しています。岩波書店総合雑誌「世界」と、暮らしの手帖社の「暮らしの手帖」。細長い会場の左が世界、右が暮らしの手帖という感じでずらーっとならんでいます。

基本はページ全体の構図が脇に小さくあって、それぞれのカットイラストが原画の状態で展示されています。

10cm四方くらいの小さな絵から、一番大きくても縦15×横30cmくらい。この小さな世界がいいんですよね…かなり昔の資料なので、ほぼ全部手書きで温かみを感じます。

二つの雑誌は系統が全然違うので、行ったり来たりして楽しみました。それぞれ100枚以上はあったと思います。

「世界(岩波書店)」は渋くて大人な感じ。

「世界」は、大人なイラストが多かったです。

世界は「君たちはどう生きるか」の著者・吉野源三郎が初代編集長を務め、政治・経済・社会・文化と幅広く扱う総合雑誌なんだそうです。(現在は不定期発行。)

岩波だしなんだか堅そう…と思っていたら、カットもやっぱり大人な渋い感じが多かったです。白黒でも、薄墨でグラデーションのようになっているイラストがあって、原画で見るとさらに綺麗でした。

「暮らしの手帖(暮らしの手帖社)」は、花森安治一色!

飾ってあるものすべてが花森安治。すごい。

花森 安治(やすじ)は、企画にはじまり取材・原稿・撮影・イラスト・誌面デザイン・本の装丁、広告と、編集に関するすべてのことを一人でやっていたらしいです。わたしはこのすべての流れに興味があるので、ものすごく憧れを感じました。

雰囲気はいま本屋さんに売っている暮らしの手帖とほぼ同じで、一貫した世界を感じます。

それにしても、世田谷美術館といえば花森安治というくらい、毎年のように何かしらやっているイメージがあります。気になって調べたら、花森安治の初めての展覧会が世田谷文学館であり、そこで暮らしの手帖社や花森安治の娘と交流が出来て、その流れで世田谷美術館にも縁ができたらしいです。(世田谷美術館友の会PDFページより

世田谷美術館にはグッズがたくさん売っていて、わたしはこの絵柄が大好きなので行くたびに買ってしまいます。お気に入りはトートバッグで、今回はポストカードを買いました。

この何とも言えない絵柄が…好きだ…

世田谷美術館でじっくりみたら、砧公園でお散歩するのがおすすめ

世田谷美術館はどの駅からも遠いので敬遠されがちですが、都内でもかなり大きな砧公園のなかに美術館があるので、帰り道はゆっくり散歩すると気持ちがいいです。行った時はとてもあったかい日だったので、ピクニックに来ている人がたくさんいました。

「雑誌にみるカットの世界」は11月19日までと、あと少しで終わってしまいますが、小さい挿絵などに興味がある方にはおすすめしたいです。

雑誌にみるカットの世界 | 世田谷美術館 SETAGAYA ART MUSEUM

(おまけ)わたしの好きな、本のカットたち

このひょうきんさがたまらない

遠藤周作著「自分をどう愛するか―「生活編」幸せの求め方 (青春文庫)」より。古川タクというアニメーション作家/イラストレーターの方の絵です。ちょこちょこ入っているこの挿絵がたまらなく好きで、絵を見たさに定期的に開いてしまいます。

こういう挿絵も素敵だな~

これは向田邦子著「思い出トランプ(新潮文庫)」。たまたま今日から読み始めたのですが、挿絵が入っていてタイムリーでした。ちなみにこのかわうそという話、結構ぞっとする話だった…ラストってあれは解釈が2通り、ありますよね…?

文章の片隅にいるカットって、想像がふくらんでいいですよね。小さくてかわいらしいし。ちょこちょこ書きためて、わたしもいつか立派なカット職人になりたいです。

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