BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

読書<体験、ハンター×ハンターな間柄、イベントは祭り。

週末に個人でお仕事やってる人のイベントにお手伝いしにいってきたのだけど、別世界を体験できて本当に楽しかった。まだ余韻に浸ってる。浮かんできた言葉を掴んでここに入れておく。

お花のイベントだった。花はいい。癒しだ。

読書<体験、機会があれば体験優先

本より体験。実体験に勝るものはないなあ。得るものの濃さと、受け取る量が全然違う。

自分の知り得ない世界を知れるのが本のよいところだけど、体験できることはどんどん体験したほうがいい。体験する機会が得られたら、本の世界に戻りたくなる気持ちをぐっと堪えて、思い切りそちらに集中したほうがいい。

タイミングはいつも突然くる。いつでもつかめるように、なるだけ健やかに、余白多めで生きることだ。柔軟にノリよく行こう。

ハンター×ハンターな間柄に憧れる

今回は2人の店主がコラボしたイベントだった。個人で仕事をしている人の落ち着きって独特だ。自分がルールで、全部自分で決めているからだろうか。2人を見ていて、ハンター×ハンターの世界を感じた。

いつもはそれぞれの目的で生きてて、何かあったときは集結して力を合わせる。それが終わったら一時のまったりした時間を過ごして、またおのおのの世界に戻っていく。

このくらいドライというか、独立した個人同士で付き合う関係が憧れだなあ。まあ、会社員でもできる。というか今回はわたしも、そんな間柄になれたのかな。

もたれあうより、それぞれの探求重視で。また会う日まで掘り進める。

イベントは祭り。求める祭りはこんな感じだ

年末年始頃の記事で、今年は祭りのイメージを大事にすると言っていた。具体的なことは浮かんでなかったのだけど、わたしの求める祭りはこんな感じだ。

残念ながら自ら祭りをおこすことはまだちょっと難しい。でも祭りに参加しに行くなら、まだまだチャンスがありそう。

今回を1回目として、そうだなぁ、3ヶ月ごとと考えて年内にあと3回くらいできたらいいな。次のまだ見ぬ祭りに向けて、準備と心づもりをつくっていこう。よし、また日々のやる気が出てきた。

books-limelight.com

興味のあること、まとめて一つに。永野護デザイン展に行ってきた!

2024年3月、永野護デザイン展に行ってきた。興味のあること、まとめて一つに。このくらいに独自の世界をつくりたい。

ところざわサクラタウン。なんとも不思議な建物だった。

漫画や作品紹介が中心ではなくて「デザイナー」永野護としての切り口だから、より頭の中だったり辿ってきた道を感じるような展示会だった。
家族が「ブレンパワード」「ファイブスター物語(ストーリーズ、以下FSS)」が好きで、今回わたしは同行するっていう温度感だったのだけど、こないだ話した通りわたしもFSSにハマったので二人とも熱量高めで見れたのが嬉しかった。

books-limelight.com

せっかくだから原画をたっぷり味わいたい!でももう、見てるそばから「自分もやってみたい!!」うずうずがとまらない、刺激的な展覧会だった。

FSSは、著者の興味・関心を集結させた物語だったんだ

混んでるがなんとか観れる、ちょうどよい感じだった

中に入ると、永野護がデザインを手掛けた重戦機エルガイム機動戦士Zガンダムブレンパワード/シェルブリットなどの制作ラフ、設定イラスト、セル画などの展示が並ぶ。
その後、漫画「フール・フォー・ザ・シティ」「ファイブスター物語」、映画「花の詩女(うため)ゴティックメード」の展示がある流れ。

展覧会の予習でFSSのマンガを読んだ時、終わりから始まること(一万年分くらいの長い年表があり、すべてはあらかじめ決まっている…!)や、ファティマ・騎士・モーターヘッドの関係性など、今までにない複合的な世界を感じていた。

展示を見ていくと、ミリタリー、ファッション、絵画、音楽、文学などなど、興味の幅が広い。そしてそれぞれを深く深く掘り下げて、最終的にデザインにつなげている。著者のたくさんある興味・関心を一つに集結させた小宇宙のような世界が、FSSなんだ!ということがわかった。

覚えておきたいので、メモがてら順に話していく。

【ミリタリー】

兵器、軍隊、内燃機関などに造詣が深く、模型つくりも趣味でやっていてプロ級らしい(ちょっと乱暴だけどミリタリーでくくらせてもらう)。
アニメの設定イラストには「これはこういう作りなので、動き方はこうなります。」とOK/NGパターンが載せてあった。頭の中の設計図を紙に落とし込む、そして相手にもわかるように共有する。そういう仕事の丁寧さを感じた。

【ファッション】

永野護は、渋谷、池袋、吉祥寺パルコのセールスプロモーションとして4年間アルバイトした経歴があるそうで「そういうことか〜!」と1人でテンションが爆上がりしてしまった。

どうにもファティマの服装が好きで、説明できないんだけどとにかく刺さっている。デザイナーが作る服っぽい(普段着というよりは、衣装っぽい感じ)なあとは思っていたんだ!セールスプロモーションってことは仕掛ける側だから、コレクションとかもたくさん見ていたんだろうか。

ご本人も"当時の流行を見ていたことが、デザインに与えた影響はとても大きいと感じている"と書いてあった。一見全然関係ないことでも、経験が後に生きる。あとで全部つながる(自分でつなげる)んだ…頭の中がそんな気持ちでいっぱいになった。

【音楽】

わたしは洋楽に疎くて名前を忘れてしまったのだけど、ロックなどの音楽が好きで自分でも活動していたらしい。モーターヘッドやキャラクターの名前も、歌手や曲名をもじったものが多いみたい。全然気が付かなかった…!こういうのって、わかるととても楽しいよなあ。

【絵画】

絵画については具体的に何に影響されて…という展示はなかったと思う(途中から頭の中の連想ゲームが止まらなくなって、目に入ってなかったかもしれない。ポンコツ

【文学】

学生時代は学校の図書館に入り浸るほど文学に親しみがあったらしい。ところざわサクラタウン内のダ・ヴィンチストアで「永野護書店」を開催していた。幼少期に触れてきた作品が置いてあって、相当たかぶった…!!!でも激混みで、とりあえず写真だけ撮ってきた。

本はじっくり選びたい。それを許さぬ一方通行の売り場(後ろの圧がすごい)

右下にあるチラシが!なんと読んできた本についてのロングインタビューが新聞にしてあった。気になったのは北杜夫。当時の学生たちの中で、遠藤周作派と北杜夫派に分かれていたらしい。わたしは現段階で遠藤周作が好きだけど、北杜夫はどうだろう。2冊ほど積み本があるので、これは読まねばと思った。

展示内容、個別の感想

さっきまでのは全体的な感想、以下は個別の感想。箇条書きで書いていく。

FSS…1~17巻までの表紙の原画

これは本当にすごかった…1番心震えた。表紙絵って、大きくてもA3くらいなのかな?って思ってた。
最大106㎝×高さ126㎝、A0より大きい。塗っている感じとか、線の濃淡とか、そういうものが間近で見れるこの幸せよ!
漫画の一巻が出たのが1987年とからしいから、初めから追ってる人にとっては泣けるくらいの感動があったと思う。にわかのわたしだってこんなにテンションが上がったのだから…!

ファティマの原石は相当昔からあったんだ

はじめの方にあったダンバインの構想ラフ?みたいなものにすでにラキシスっぽい女の人がいて、活動の初期の段階で、すでに彼の中にはファティマの原石のようなものがあったのだと感じた。

わたしの中にも、表現したいかけらがすでにあるのではないか?それを発掘するために生きているのではないか?そんな気持ちになる。まだまだ掘り下げが足りず、地下100メートルに埋まってる感じだけど。めげずに掘って掘ってほりまくろうと思った。

未発表の劇場アニメ「燃えるキリン」

キャラクター絵だけ8点くらいの展示だったのだけどこれがかなり面白そうで。メカも主人公もすごく魅力だったし、アニメになったら絶対行きたい…しかし頓挫してしまったらしい、残念だ。

花の詩女ゴティックメード

これはどうでもいい話だけど、主人公のキャラデザがかなり好みで映画がみたくなった。(当日上映会をしていたのだけど、チケット完売で見られず…作者意向で販売はされないらしく、恐らく今回のようなイベントでしか上映されない貴重な体験を逃した。でもきっとまたやる。諦めない!)

(おまけ)買ったグッズたち

書籍をもっと買っておけばよかったと思っている

ところざわさくらタウンは、グッズをいろんなお店に転々と置くのが戦略?なのかもだけど、結構モヤっとした。分かりにくくて、微妙に遠くて、せっかくの熱が冷めかける。この熱を購買意欲として爆発させてくれよ…!!(その割には買っているやつ)

  • 年表クリアファイル
    会場物販にて。職場でいかにも真面目な顔しながら年表を眺めている。これから天照(アマテラス)が過激派になるのか…?毎日見て歴史を頭に刻もう。
  • ミニアクリルブロック
    どうも会場の物販が微妙で、プラモ買うには家が狭くて、目当てのポストカードは完売(みんなも微妙って思ってポストカードだけ買って帰ったんだきっと!)でってことで買った。好きな3巻が出たので嬉しい。
  • 木製ポストカード
    入り口近くのミュージアムショップに寄ったらこれがあって即買いした。発色もいいし少し立体的になっていて素敵なのでおすすめ。

    ちなみに台座は会場だとちょっとお高い(一つ200〜400円)のだけど、セリアの「推しスタンド」がシンデレラフィットした!

    3個で100円!垂直に立って満足…✨

     

  • すえぞうの栄太郎飴
    可愛くて買ってしまった、あめがおいしい
  • コミック16・17巻

    ダ・ヴィンチストアにて。あんなに探していたFSSが全巻揃っていた!

    2500円以上買うと特典でダイ・グの複製原画が貰える!と思い込んでたんだけどそれは5000円以上だった。もう一回お会計に並ぶ時間がなくて断念…でも別の(チャンダナ)がもらえたら満足ということで!

興味を掘り下げ、すべてつなげてオリジナリティー

興味のあることを、それぞれ楽しみながら深める。それをつなげて、自分の一つの世界をつくる。一つ一つの興味は人と同じこともあるだろうけど、独自に深めた分野を掛け合わせることで、完全にオリジナルな世界になるんだ。

逆に言えば、見たり聞いたり調べたりしたことは、自分のアウトプットに多少なりとも影響を与えるということだ。
だからこそ、自分の目に触れさせるもの、聞かせる言葉、調べる対象、心して。と思う。

どうでもいいことを調べたり考えている時って割と多い。社会的に知る必要のあることは最小限調べて、あとは全部こっちの方向に注ぎ込みたい。

帰り道は頭の中でブツブツつぶやきながら、これからやりたいことで頭がいっぱいになりながら歩いた。

東所沢駅はマンホールが楽しい。これは駅の近くにあった。

長々とお読みいただき、ありがとうございました。もう一回行きたいくらいだ…!

ー展示会情報ー

DESIGNS 永野護デザイン展

会期:2024年2月10日(土)~2024年3月24日(日)

場所:EJアニメミュージアム(ところざわサクラタウン 角川武蔵野ミュージアム3F ) 

books-limelight.com

books-limelight.com

守備範囲外のマンガにハマるー永野護「ファイブスター物語」の話

家族に同行して永野護デザイン展に行くことになった。

永野護といえば、「ダンバイン」「ガンダム」「ブレンパワード」などのメカニックデザインを手がけ、自身は「フール・フォー・ザ・シティ」「ファイブスター物語(ストーリーズ)」などマンガも描いて映画まで作っちゃってるらしい。自分の範囲外のことを知れるよい機会だ。

少しは知ってから行きたいなと思って、ファイブスター物語(以下FSS)を読み始めたらまんまとハマってしまった。全然理解できてないんだろうけど、面白い!!!

物語が入り組みすぎてて、もはやあらすじを語ることはできない。

  • これは終わりから始まる物語
  • モーターヘッド(MH)と呼ばれる兵器が出てくる。ガンダムみたいな感じ。
  • MHは1人乗りではなく複座式。騎士と、ファティマ(MHの能力を引き出す情報処理能力がある人工生命体)の2人で乗る。

あとは数千年単位の歴史を行ったり来たり(?)しながら、国家間の思惑や、人間模様・ファティマ模様が垣間見えるような作品…だと思ってるけどどうだろう!全然違うかもしれない!

既刊17巻(2024.3現在)で、わたしは今7巻を読んでいるところ。一体何に惹き込まれてるのだろう。それを探るべく、ひとまず今の気持ちを整理しておこうと思う。

スタートは3巻から。それがよかった

いろんな書店を回ったものの、扱いがほぼないFSS。デザイン展やってても並べないもんか…と思いつつ、ネットで買うのは忍びない、手で買いたいと彷徨い歩く。古本屋でも出会えず、たまたま行った神保町の夢野書店で3巻を見つけて購入した。

結果として、これで良かったと思ってる。1巻からだったらヘタしたらハマってなかったかもしれない。表紙だけでも少しわかるけど、何とも切なくて、でも芯の強さを感じる巻だった。

わたしは左にいるクローソーというファティマに惹かれて彼女をもっと知りたくなったんだけど、なんとこれ以降は名前しか出てこない(人物紹介に書いてあった)。でも、ファティマのことを、この世界のことをもっと知りたいと、マンガをすごい勢いで集めていくことになった。

絵は古いんだろうけど、そんなことはどうでもいい

家族にFSSを読んでみようかなと話した時、絵が古いから人を選ぶかもしれないと言っていた。確かに1巻とかは年代を感じる。しかし昔の少女漫画はいける人はいけると思う。生徒諸君!とか、ガラスの仮面とか、読んでおいてよかった~!絵柄で拒否するにはもったいない世界が味わえる。(あ、絵の系統としてはこの2作品とは違うんだけど、なんというか、いろんな絵を昔から見ておいてよかったなという意味。というかFSSの絵柄わたしは好きだ!!)

好きになった部分

語彙をなくして箇条書きで失礼する。

ファティマ
  • この美しさの感じがすごく好き
    ファティマは美しい。まだ言葉でうまく説明できないんだけど、容姿以外の部分も込みの美しさを感じる。
  • お気に入りは、クローソー
    3巻のクローソーはたまんない。迷って迷って、でも最終的には迷わず選択した。彼女が最終的にどうなるのか…いや、最終があれだったのか。。
    静とアトロポスも気になっている、あと4巻のアウクソーも。あの話本当に良かった…。最終的にアトロポスへの共感が強そうな予感がする。
  • 服がめちゃくちゃ魅力的
    ファティマスーツはじめ、普段着もどっちも好き。むかし服を作ってたことがあったんだけど、この作品知ってたら絶対影響されてたと思う。「こういうの作ってみたかったなあ~!」とつぶやいたら、家族から「今からでも作れば?」の声。
    そうか、今作ったっていいんだよな別に。え、わくわくしてきたな。
騎士
  • 騎士についてはまだそこまで入れ込んでいない。
    コーラス3世みているだけで切ない。カイエンは特別枠の人なんだな。というのが巻を追うごとにわかってくる。
  • まだ本編に出てきていないのに、フィルモア帝国のダイ・グが気になっている。
モーターヘッド(MH)
  • 正直、まだよくわかってない。
    見分けがついているのは「ナイト・オブ・ゴールド」「ジュノーン」「シュペルター」。「ミラージュ」がいつまでたっても覚えられない。

デザイン展感想はまた次回に

今日の記事は回顧録だった。実は先日、もう永野護展には行ってきた!大変素晴らしかった!!その話がめちゃくちゃしたくて、でもその前に振り返っておきたかった感じ。

今は年表を見ながら(巻末に物語すべての年表が載っている)、読み進めつつちょくちょく戻ったり、絵をかいたりしながら楽しんでいる。

守備範囲外のマンガが思いがけず刺さった。この全然知らない世界を徐々に知っていく感じ、久しぶりだ。楽しい。

books-limelight.com

ファミレスは人間交差点:和山やま「ファミレス行こ。上巻」レビュー

前回のカラオケ行こ!に続いて、続編の「ファミレス行こ。上」も読んだので感想を話していきます。

東京の大学に進学した聡実(さとみ)くんは、ファミレスでバイトをはじめました。ヤクザの狂児(きょうじ)は大阪が本拠地ですが、東京にも定期的な用事があり2人の交友は細々と続いています。

いや~、一冊まるまる前振りっちゃ前振り(主観)なのに、新たな登場人物一人ひとりに魅せられて。後ろでわちゃわちゃ動いてるのが楽しかったです✨

今日はちょっと立ち止まって考えたことや、好きなシーンなど感想を話していきます。いつも話し込んじゃうので簡潔に話すのを目標にします!

(以下、ネタバレあり)

深夜バイトのだるい感じがすごく懐かしい

聡実くんほどがっつり入ってたわけじゃないんですが、わたしも一時深夜のファミレスバイトをしていたことがあります。あの働いてるときも日常でも、もうろうとしてあくびが止まんない感じ…すごい懐かしくなりました。夢うつつな感じが嫌いじゃなかったんですよね。ひたすら眠いけど。意味わかんない人多くて面白かった。

聡実くんはカラオケ行こ!の時もテンション低めだったけど、もうちょっと元気だった気がします。今回はツッコミもだいぶ少なくて、環境が変わって忙しいこともあってかお疲れモードなんだな~と思いました。どうしても、お金を貯めて「プレゼント」あげたいんだな。頑張れ~!

種族が違う2人の友愛は成立するのか?

「普通」にお堅いところに就職するつもりの聡実くんは、ヤクザの狂児に贈り物をしてもう会わないことにしようと決めている様子ですが、いったいどちらに転ぶのでしょう。作者あとがきには「この漫画では主に聡実くんの幸せを考えて描いていこうと思っています」とありました。どちらにも転ばないで今の宙ぶらりんだといいな~~と思ってるわたしは甘いですね。人間関係とは変化するものです。

それにしても生き方というか、種族ということを考えてしまいます。(ちょっとこのような表現をしていいか不安ですが。生き方があまりに違うという意味で「種族」という言葉を使って話します)この二人ほどの世界の違いではないものの、話していて「あ…自分とは種族が違うなぁ」と思うことがあります。自分を卑下しているわけでも、相手を格で決めつけている訳でもないんですけど。明らかに別の種であることを感じてしまう。

性格が合わなかったらそれこそ深追いせずスルーできますが、気質が合う場合はどうなるんだろう。やっぱり多かれ少なかれこのような空気感になるんじゃないでしょうか。

わたしには自分とはだいぶ種の違う友人がいて、数年に1回だけ会うことがあります。普段は別の世界を生きていて、ほんの少し会って、またそれぞれの世界に戻っていく。個人的にこの関係性が気に入ってたりするので、会わないことになったとしても、そんな関係だったらまだいいなあとか考えてしまいます。

もし公務員になっちゃったらそれこそ大問題だしなあ。家族にも迷惑がかかりそうだし。聡実くんが悩むのにも共感するし、狂児がそっと手を放そうとするのもわかる。悩ましいところです。

多面性で魅力倍倍

冒頭でもいいましたが、そして和山やま作品全体にいえることですが!脇役を含めた登場人物の多面性がめちゃくちゃ光ってますよね!キャラクターの別の一面が見えるだけで、倍倍ゲームのように魅力が上がっていくから不思議です。

漫画家×アル中気味×ヤクザの息子の北条先生、ファミレス店員×マンガ好き×人気インディーズバンド?の森田さん、漫画アシスタント×???のマコトくん、他にも宇佐純子、丸山くん、何気に編集の「糞」こと鈴木さんも気になっています。

ファミレスが人間交差点となって、行き交う姿を見れるのがほんと楽しくて…もっと見ていたい。

一つの側面しか知らなかった人の別の属性が見えると、なぜこんなに好きになっちゃうんでしょうね??知ることでより知りたくなるんですかね?本当不思議だけど、みんな好きになってしまいます。

好きなシーン

最後に好きなシーンを。まず作品を通しての空気感が好きなんで、もう全部って感じなんですが。特に楽しかったところを紹介します。是非読み返しながらどうぞです!

  • P29「ゲンコウ…… …ゲンコウ?」
    北条先生+アシスタントの表情込みで笑ってしまった。そしてそれに対する編集鈴木さんの動じてなさも面白い!
  • P33 聡実くんのあくび
    なぜか実家で昔読んでた生徒諸君を思い出しました。懐かしい…また読みたい。
  • P74「神がこないので一旦ワープします。」
    飛んでしまっためんたい子先生が気になっています。帰ってきて、ワープした先の話を書いてほしい…!
  • P80「いちご侍解散マジか…」
    女の園の星とクロスオーバーしてるんだこの世界?!女の園3巻に載ってる)解散しちゃったってことは数年後?いや、あの後すぐってこともあり得るか…こういうのあると楽しい。けどあの子は大丈夫だろうか。
  • P165「みんなに言って みんな読んでる」
    わたしの前の職場がほんとこれで……秘密とかプライバシーなしを味わった過去を思い出しつつ、不条理さに笑ってしまいました。

どう転んでも、結末にうなずきそうな自分がいる

作者の完結している作品は初めの「夢中さ、君に」しかないので(あれは読み切りか?)何とも言えませんが、結末はどう転んでも納得する気がします。

いろんな幸せがありますからね~。わたしは前作のように、あれはなんだったのでしょう。って作文になってるような展開も全然ありで。一生忘れない濃厚な日々になっていくのもいいなと思っています。

でも、なんかそうは転ばない気がする。全く分からないけど。

カラオケ行こ!が2020年9月12日発売、ファミレス行こ。上巻が2023年12月28日発売。不定期連載らしいので下巻はきっとだいぶ先ですね。

定期的に出ている女の園の星を楽しみながら、ゆっくり続編を待ちたいと思います~。

books-limelight.com

books-limelight.com

ヤクザと中学生のカラオケ特訓物語―和山やま「カラオケ行こ!」マンガレビュー

この人のマンガは見かけると即買いしてしまう

和山やまのマンガ「ファミレスいこ。」を買ったので、まずは前作の「カラオケ行こ!」を再読しました。

カラオケ行こ!は、中学生で合唱部部長の聡実(さとみ)くんが、何故かヤクザの若頭補佐・狂児(きょうじ)の歌の特訓に付き合うことになり、カラオケに通う物語。これだけ聞くと何なんだ??って感じだけど、読むとすんなり世界に入れてしまいます。

やっぱ面白い~、この雰囲気。「夢中さ、きみに」「女の園の星」とかにも共通してるけど、作者の唯一無二の世界観だと思います。主人公と準主人公のちぐはぐなキャラの組み合わせも好きで、あと何気に関西弁なのも、入れ込むポイントになっている…個人的に!

いつもなら、あ~楽しかった!で終わるけど、今日はせっかくなんで少し深堀りしてみようかな。ということで「狂児が目的達成のためにやったこと」に焦点を当てて感想を話してみます。(以下、ネタバレあり)

目的:歌が上手くなりたい!!

ヤクザの狂児には悩みがあります。定期開催される組長主催のカラオケ大会で一番ヘタだと、罰ゲームが待っていること。これが素人がやる刺青で、痛いわ仕上がりは最悪だわ体に刻み込まれるわ、それは血眼で歌が上手くなりたいのはうなずけます。

目的達成のために狂児が行動したことは2つ。

①練習する

これはみんな日頃からやってるらしく、もう自主練では頭打ちで、何かしらの手を打ちたいらしい。みんなヤクザ家業をしながら裏ではビクビクと自主練に励んでいるのかと思うと、なんだか微笑ましくなってしまいます。

②習う

兄貴分がついにヤマハに習いに行ったのを見て、自分はああなりたくない!と思った狂児は、聡実くんをスカウトします。それでこうなるのも不思議だけど、きっとどうしたら歌うまくなるかな~って歩いてたらコンクールの看板を見かけて入り込んだ感じなんじゃないかなと思う…笑
けっこうそういう軽さ?があるところとか、考えたらすぐにまっすぐにやってみる狂児が目に見えるようで楽しい。応援したくなるんです。

本当にうまくなりたいのか?は疑問

狂児の努力を見ていると、本当に歌が上手くなりたいのか?ただ聡実くんと仲良くくっちゃべってたいだけなんじゃないのか?その辺の境があいまいに感じてきます。

聡実くんはなんだかんだ指摘が的確だし、キーが合いそうな曲を選んで教えてくれる仏のような優しさがあるんですよ。でも上手くなりましたね~、みたいな描写がないので、へんな癖がいつまでも取れないか、選曲のこだわりが抜けないとかそういう事なのかな。

そこまで深く考えなくていいんだよね

狂児にとっては何かしらの手を打つ(解決に向けて行動する)ことが大切なのかもしれないし、そもそもそんな必死にやるんだったらボイトレ行ったり誰かに弟子入りしたりするか!

そこまで深く考えなくていいんだよな、そんなゆるさがあるからこのマンガが楽しいんだと思います。

試写会、いいなー!

カラオケ行こ!は映画化されていよいよ今月12日公開。友達が上映前の招待試写会に行くらしくすごく羨ましい!!!狂児が綾野剛なのはハマってる気がしてる!

グッズ化したら欲しいもの

わたしは映画を観に行く予定は今のところないけど、グッズ化してたら欲しいものが一つある。

こういうやつ。著作権が気になり手書きでいくやつ

げんきおまもり。再読するまですっかり忘れていたこのお守りは、聡実くんが父からもらい、何故か狂児の手に渡るキーアイテム。こんなに見てて元気になるお守りは他にないので、もしグッズ化されていたらわたしは映画館に行くかもしれない。

試写会ってグッズ買えるのかな。お願いしてみようかな。

すっかりこの二人のことを思い出したので、続編の「ファミレス行こ。」を読んできますー。狂児は歌うまくなったかな、ファミレスってことは…もう歌ってないのかな?それではまた~!

books-limelight.com

books-limelight.com

違国日記が終わってしまった 、寂しい。

気まぐれに買い集めていた違国日記。友人と本屋に行った時、好きなマンガがあってね~、と話していたら「これのこと?最終巻って書いてあるよ~」

へ?!……さみしいなあ。終わっちゃったのか。あの空気感はもう味わえないのかあ。そのまま買ってない分と最終11巻、大人買いして帰ってきました。

違国日記はこんな話

この作品のテーマは重たい。でも日常の描写は軽やかです。

両親を事故で亡くした中学3年生の女の子/朝(あさ)と、その子を引き取った35歳の叔母(母親の妹)/槙生(まきお)の共同生活の話。槙生の家に住むことになった経緯からはじまり、共同生活するなかで互いに考えていることや、心境の変化に焦点を当てて物語が進行していきます。

惹きこまれたところ

槙生は内向的で他者との接点をあまり取りたがりませんが、幼い頃から確固たる自分の世界があります。一方の朝は、優柔不断で焦りがちですが、社交性があって(ガツガツしてる感じではなく、自然とコミュニケーションが取れる感じ)いろんな人の意見を取り入れられる子です。

この真逆ともいえる二人が、生活の中でお互いに影響しあっていくところに惹きこまれました。

まだ柔らかくて、自分の言葉でどうにでも変化してしまいそうな小さな生き物。埋められないほどの喪失感を抱きながらも、どうにもならない砂漠の心はどうやったら癒されるのだろう。槙生は小説家を生業としているだけあって、物事を注意深く、独自の目線でみています。朝を見る時にどうしても、朝の母(槙生の姉)とのかつての確執がちらつき、余計に慎重になってしまう部分もあります。

朝は朝で、両親を失ったあとも中学卒業、高校入学、変わらず学校に通う。素直な心を持ったこの子は、失ったものや等身大の悩みとも正面から向き合っていきます。

親子ではないからこそ、お互いの距離を測りながら生活していきます。

登場人物たちの距離感に憧れる

この物語はわたしにとって、人々の距離感がちょうどよい。介入しすぎず、でもいつもどこかで想っています。終盤でこの距離感をものすごくぴったりな表現であらわしていて、思いがけず涙がこみあげてきました。

淡々としているようで、互いに見守りあうような自立した人間関係にとても憧れます。槙生は人が苦手って言っているけど、こんなに豊かな関係を築けている。あっさりしているようで、どこか思いやりがあるんですよね。

槙生は自分に嘘をつかないので、朝に対しても子ども扱いせず、一人の人間として扱います。時にそれが朝を突き放してしまい傷つけてしまうとしても、曲げられなくて苦悩するところも込みでわたしは好きです。自分に誠実だからこそ、人にも誠実になれるのだと思います。

もっと、この空気感に触れていたかった

正直もっとこの日常を一緒に見ていきたかったな~と思います。でも朝にとっても槙生にとってもいい区切りだったので納得です。たった一言が言えなくて、回り道してしまう経験はわたしにもあるなあ。でもその回りくどさが人間臭くて好きだな。

スピンオフとかあったらいいな

二人を取り巻く人たちも楽しくて、単話のスピンオフとかあったらすごくいいなと思います。わたしが見たいのはこの人たちです。

  • 槙生の親友・奈々
    この人の言う"エポック”が、物語のキーポイントにもなっていてずっと心に残っています。仕事の様子とか、家族との確執と向き合いながらも槙生たちと日常を楽しむ様子を見てみたい。あと、おしゃれだから日々の服装がもっと見たい!
  • 弁護士の塔野さん
    この人の"出来すぎて人の心が分からない”ところがすっごく好きです。槙生や朝と接することでどんどん人間味が増して、世界が広がっていくところがみたい!
  • 槙生の元彼・笠町くん
    やっぱり、過去編…?いや、わたしは笠町くんが何気なく槙生を気にかけて誘ったり、美味しいものを運んできてみんなで食卓を囲んだり、ちょっと嫉妬したり、そんな様子をずっと見ていたい。笠町くんの今をずっと追っていたいです。本当に切なくて素敵な大人だ。

こうやって見てみると、槙生の周りの人ばっかりだー。槙生とその周辺の大人たちが大好きだということがよくわかりました。

"大切に思う”ってなんだろう。

血が繋がっていてもいなくても、人はそれぞれ独自の世界を持つ全く別の生き物です。違国日記では「あなたとわたしは違う」という大前提のもとで、大切な人をどう大切にするか?そのひとつの形がみられる作品だと思います。

この作品の登場人物はみんな、お互いに干渉しすぎず、思いやるけど子供扱いはしない。なんというか知的な空気が流れています。子供にとってはちょっとドライに感じるかもしれないけど、大人になるにつれ滲む優しさに気づいていくと思います。

こういう雰囲気のマンガってあんまり知らなくて、なので替えがきかなくて困っています。何度でも読み返せばいいんだけど…なんとなく、短い間だったけど一緒に過ごしているような感覚があったので。みんな前を向いて、行ってしまったな、と寂しい気持ちです。

映画化…は今のところあんまり興味ないかな。アマプラとかに上がったら見るかな?くらい。マンガがとにかく好きです。好きでした。