有隣堂のキャッチコピー「本は心の旅路」。あらためて、素敵な言葉です。
去年の夏に横浜に遊びに行った時、有隣堂本店でブックカバー10枚セット(165円)を買いました。
その後半年かけて10枚巻き終わったので、だいたい使った順に、どんな本に巻いて旅に出たのかを話していきます。
10色の旅路
まず、ブックカバー10枚のカラーは以下の通り。
・ダークブルー
・ライトブルー
・グリーン
・イエロー
・オレンジ
・ピンク
・ワインレッド
・アイボリー
・グレー
・ブラック
初めはそろそろと、終盤にかけてばーっと巻いた印象です。色とりどりできれいだったから、しばらく飾っておきたかったんですよね。終盤は好みの色が少なくなってきて、がんがん使っていきました。
それでは10色の旅路をご紹介していきましょう。まあ、まだ半分くらい読み途中なんですけどね。
グレー:シュライエルマッハー「独り思う」
これ…グレーだったんだ?アイスグレーみたいな、ほんの少し青と黄色がかかったような感じの色。こういうぱっと見でよく分からないニュアンスの色が好きです。
何回読んだ?記事にした回数は4回。とても暑い日に読んで以来、朝晩が過ごしやすくなって、風が冷たくなって、服が厚手になって、肉まんを片手にと、いろんな時を一緒に過ごしました。
この人は私の活動の、時空を超えた師です。一生懸命勉強したら、いつか友人にしてもらえないだろうかと夢想したりもしています。
ブラック:マックスウェーバー「職業としての学問」
途中離脱中。曖昧な記憶では、学者や先生の処世術みたいな部分が新たな視点で興味深かった。…ものの、私はこういうかけひきが本当に苦手で、読んでいて窮屈で仕方がなくて、途中で面倒になって辞めてしまいました。
ただ、「ゲーテはすべてを言った」を読んでから、学者、先生というものに対しての人間味が増したので、今ならいけるかもしれません。読み時かも。
アイボリー:外山滋比古「こうやって、考える」
10月に外山滋比古を読んでいたということは、私は何かで悩んでいたんでしょう。そのくらい、迷った時の駆け込み寺のような存在の方です。
過去記事を読んでみたら、社内調整で自分が動かないといけなかったり(アメニモマケズ的立ち位置)、休日も踊るように活動して考える時間がとれないことに悩んでいたようでした。幸せなやつだなあ。
記事の結論は明るくて「やるじゃん。」こういうハッピーに終わらせられる人間になりつつある。よかったよかった。
ちなみにその時に探してた思考の整理学は、洗面台の本棚にあったよー。見つからないわけだ。
オレンジ:モリエール「いやいやながら医者にされ」
この本は11月、神保町の古書まつりで買った戯曲です。
家族がどこかにいく後ろについて行って、上島珈琲店で待ちつつ黒糖カフェオレを飲みながら開いたのを覚えています。あの甘い甘いカフェオレがたまに飲みたくなります。
毎回読んだ後に、わたしは戯曲が好きだ…!と実感して終わる(この本もそうでした)くらい戯曲が肌にあいます。しかし、なかなか読めていないのには謎なこだわりが邪魔しているのがあります。
戯曲は、一気に読みたいんです。映画館で映画を観るように、どっぷりつかって読みたい。
私は普段、複数の本を回して読んでいくような読み方をとっていて、ただ戯曲にこれは絶対やりたくない。だけどまとまった時間が取れない。このジレンマで、なかなか手がでないでいます。
読みたいのが結構集まってきているので、週に一回は戯曲を読むくらいゆとりがほしいですね。戯曲から始まるゆとりのある生活。
ワインレッド:向田邦子「金魚の夢」
これは色から決めました。向田邦子は、私の中で「ワインレッド」です。苦味、渋み、酸味、そういう大人味を感じる方です。
金魚の夢は向田邦子が書いた脚本を、別の方が小説に仕立てたものですが、エッセンスはしっかり入っていました。秋が深まったころに読みたくなる作家さんです。大好きです。
ピンク:ギュンター・グラス「ブリキの太鼓」
これは家族に「読みなさい」と渡された本。なんで言われたんだか忘れましたが、出だしの精神病棟から家族の回想だったかな?まで、かなりいい感じに面白かったのを覚えているんですが、あれ、いつのまにか読んでなかったな。他の本に移って忘れてしまったんですねきっと。
まず表紙がいいですよね。家族は自分が読んでもないのに、前評判だけで買ってきて渡してくることがあります。ことごとく読んでいない気がする。読めと言われると読まないあまのじゃく。
ブルー「アンダスン短編集」
1月、そろそろ色の選択肢がなくなってきました。これは、この本がですね、、苦い記憶があります。読んで、この気持ちは書かねばならないと一気にブログを書きあげたものの、結局消した作品です。何時間もかけて書いたのでできればアップしたかったんですが、初めて自己検閲が買った思い出の作品となりました。
なんでOKが出なかったのかは、前書いたので省きますが、とにかく、もっと自分が感じたこの本に対するなんともいえない感情を、そのまま伝えられるような文章力と語彙がほしいです。別に勧めませんが、複雑な気持ちを味わいたい人にはオススメかもしれません。
グリーン:マーク・トウェイン「ジム・スマイリーの跳び蛙」
この本を読んでいた時、楽しかったなあ~!にっこにこで思い出せます。説明が長くなるんで省きますが、昨年末の「ボーナスタイム」に、文章表現の冒険にでてみたんです。まとまった時間は取れなくて、何回かに分けてカフェとかにこもってやってました。
この本は、「文章の舵を取れ」を読みながら、副読本として読んでいたんですよ。ちょうど引用文にも使われたりしていたんで、そしたら物語の楽しい要素みたいなのが浮き上がって見えるようになって、傍から見れば私一人でコーヒー飲みながらもくもくと本を読んでなんか作業している人だったんですが、内面は踊ってました。めちゃくちゃ面白かった。
作文演習は4つくらいやって、まだまだあるので続きをやりたいですね。ここにも上げたりしたんですが、これが黒歴史ってやつですね。たくさんあるので慣れてきてしまいました。
ダークブルー:コペルニクス「天体の回転について」
アニメ「チ。」が、素晴らしくて。でも辛い展開だから、星空を眺めるように遠くから見ているつもりだったんですが。バデーニという探求心にあふれた情熱的な人間に出会って、ぐしゃぐしゃになったことがありました。
あれからこの本を読んだり読まなかったりして、いい感じに宇宙猫状態を保って観ています。アニメはあと4話だったかな。いま内容は7巻くらいらしく、漫画は全8巻だから最後までやりそうと風の噂で聞きました。漫画を追うかは描写的に迷っているところです。
この前、アニメopの怪獣がフル公開されましたね。もうなんだか、聞いていると極まってしまいます。身の回りにも同じ気持ちの人がいて、ブログにもちらほらいるので、リアルタイムで感情の共有ができていることにも心が動きます。あれ、全然この本の話してないぞ。笑
見つからない、イエロー:佐藤正午「佐世保で考えたこと」
気を取り直して最後の一色、黄色。見ていると元気が出る好きな色です。そんなわけで一番初めに使ったのですが、何に巻いたか、どこにあるのか分からない状態です。スーツケースとかバックの小ポケットに入っているのか、エコバッグにまぎれこんだか、会社の引き出しか…友達に貸した可能性もあるな。
なので、10色セットを買った時に一緒に買った佐藤正午「佐世保で考えたこと」に黄色のカバーをかけてもらったのでご紹介します。…とはいっても、積み本してました。すみません。
短いエッセイがたくさん入っている本です。この記事を書きながらまた読んでいて、この人の人間味がどんどん好きになっています。「こんなブログがあったら読みたい。」そんな本がたまにあって、この本も仲間入りしました。
日常に起こったこと、日々考えていることを、こんな風に伝えられたらかっこいいなあ。素敵だなあ。ちょっとひねているところも楽しい。きっと料理も上手なのでは、と思ったりする。まったく分からないけど、ちょこちょこっと手を加えて最高においしいおつまみとかつくっちゃいそうな雰囲気があります。個人的な、勝手な印象です。
本は心の旅路。ブックカバーで閉じ込めて
本にブックカバーを巻いたときの気持ち、読んでいる時の状況、感情。意外と覚えているものですね。「本は心の旅路」は有隣堂の標語ですが、本当にそうだと思います。
知らない分野に足を踏み入れたり、過去の懐かしい気持ちに出会えたり。わたしは内気というか、なかなか人に心を開ききれないところがあるので、内面だけでものびやかに、豊かに旅をしていたいものです。
次の10枚があるとすれば、それこそ旅をしながら読んでみたいですね。行ったことがない場所で読む本もまた、いい思い出になりそうです。
有隣堂のブックカバーでする「心の旅路」。とっても楽しいので、おすすめしたいです。