BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

新たな文体に挑戦中。ル=グウィン著「文体の舵をとれ」を読みながら

最近はル=グウィン著「文体の舵をとれ」を読みながら、実際に舵取りの訓練をしています。いつも書いてる感覚からはみ出して試すのが楽しい!全然うまくできないのに、悔しいより面白いという気持ちが勝つのが不思議です。
練習したものを何も言わずさらっとアップしちゃおうかと思ったんですが、それにしちゃあまりにも違和感が強いので、もう練習中ですと宣言します。そしてこれから読んでもらいます。

 この本は副題に小説教室とある通り、既に物語を書いている人向けの創作読本です。わたしはというと、ブログならそろそろ300記事くらい書いてますが物語は書いたことがありません。そのためここからの文章も物語ではなくエッセイのようなものになっています。(というか、やろうとしてもできなかった感じです)それではどうぞ、お手柔らかに。

問2「ジョゼ・サラマーゴのつもりで」

1段落〜1ページ(300〜700文字)で、句読点のない語りを執筆すること
(段落などほかの区切りも使用禁止)  

テーマ案としては、緊迫・熱狂・混沌とした動きのさなかに身を投じている人たちの群衆描写とあり、わたしは「混沌とした仕事中の思考」について書いてみることにしました。読みにくいので、下に句読点をつけたバージョンも載せています。

「誌面をレイアウトする」

一つの大きな誌面スペースに10〜13の文章が入るがそこにはさまざまな制約がありまず主役の文章は一番目立つ形でそこにいてもらわなければならないし左肩には読ませる文章そして真ん中の腹(はら)とよばれる部分にもそれなりに読者の関心ごとを捉える必要があるつまり極論をいえばこの3つさえ意識していればほかの文章は引き立て役またはちょっとしたおつまみであり箸休めであるしかし情報の緩急や優劣を決めることは3年目の今も大変難しいことで私の偏った視点のフィルターで本来価値のあった文章をおつまみにしてしまう危険性が常にあるため毎朝一つ一つ読み返しては思い悩み結局判断を上司に委ねてしまうこの決定の踏ん切りをいかに自分で行えるかが私にとって素人から一歩踏み出すステップであり一人立ちの瞬間であると考えるのだ  

(読みやすくしたもの)

一つの大きな誌面に、10〜13の文章が入る。そこにはさまざまな制約があり、まず主役の文章は一番目立つ形でメインの場所にいてもらわなければならない。また左肩には読ませる文章、そして真ん中の腹(はら)と呼ばれる部分にもそれなりに読者の関心ごとを捉えるトピックが必要だ。極論を言えば、この3つさえ意識していればほかの文章は引き立て役、ちょっとしたおつまみ、箸休めのようなもの。
情報の緩急や優劣を決めることは3年目の今も大変難しいことで、私の偏った視点のフィルターで本来価値があった文章をおつまみにしてしまう危険性が常にある。そのため毎朝一つ一つ読み返しては思い悩み、結局上司に判断を委ねてしまう。この決定の踏ん切りをいかに自分で行えるかが、私にとって素人から一歩職業人に踏み出すステップであり、一人立ちの瞬間だと考えている。

感想…なんとか文章にできた!けど、「描写」って難しい。

お疲れさまでした。句読点がないからすんごい読みにくかったですね、すみません(スマホだと横幅が狭いせいか多少読みやすくなる)。描写ではなく終始説明書きのようになってしまったのが残念なポイント。まあ1回目なんだから、まずルールを守って何とか文章をつなげられただけでよしとします。

発見…句読点がないとスピード感が出る

発見としては、句読点がないと次に次に文章が覆いかぶさってくるようなスピード感が出ることです。気持ちが急いている感じ、焦っている感じを伝えたいときは句読点を少なくするのもよさそうです。今の仕事はたくさん決め事があって、それをかいくぐりながら〆切に向かって走る、みたいな感じなので課題として合いそうかなと書いてみましたが、そう簡単ではなかったですね。
とはいえ仕事中の思考を書いてみることで整理された部分もありました。仕事には厳密なルールがあるのでどうしても慎重になります。ブログならもっと気軽に情報選びや作る判断ができるので、息抜きとしてこんなに続いているのかもしれないなと思ったりしました。

新たな文体探しの航海へ

今日はル=グウィン著「文体の舵をとれ」の練習問題をやってみました。ただやってみたいから始めたんですが、どこかでこのブログにマンネリを感じてたのかもしれません。

この本では、始めに文のつながりや句読点などのトピックについて著者が話した後、長く親しまれている物語から名文として引用があり、練習問題が続くという構成になっています。
わたしのように1人で漕ぎ出す「孤高の航海者」でもいいし、何人かでグループをつくり講評し合う「立ち上がる乗組員たち」でもいい。結局のところ、書くときはいつもひとりなんだから。というのがすごく好きなポイントです。

 結局は自分、自分ひとりにしか自作の決断はできない。作品はこれで完成だという踏ん切りーこれこそ自分のやりたかったことでこれで決まりだという気持ちーは、書き手から出てくるほかない。 (P10)
アーシュラ・K・ル=グウィン著「文体の舵をとれ」より引用

ひたすら自分の書き方で突き詰めるのもいいけど、たまにはこうして別の表現方法を見つけると引き出しが増える感覚がありますね。ただ、意図して使うにはまだまだ時間がかかりそうです。いまやってるのは「文の長さや複雑な構文」についての練習。これもまた難しい!文体の舵取りはのんびり楽しめる範囲でやっていきます。