BOOKS:LIMELIGHT

読んだ本を、感想とともに紹介していきます。

仕切りと時間と時代とーフレッド・ホイル著「10月1日では遅すぎる」再読中

フレッド・ホイル著「10月1日では遅すぎる」を再読している。

この物語は、時間の感覚が不確かなものになった世界で、人類の行く先はどうなってしまうのか?その様子を主人公が奏でるピアノ曲が彩っていくような構成になっている。再読する中で、ほんの少し「時間のとらえ方」について分かってきたので、まとめていく。

(どうやら絶版らしく、これは中古のページです)

ジョンによる時間の捉え方

物語の進行は主人公の作曲家・ディック(リチャード)がしている。もう一人の主人公と言ってもいいのが、友人で物理学者のジョン・シンクレアだ。

彼らは2人旅に出かけたものの、途中でジョンが失踪してしまう。その後戻ってきた彼は、ほぼ本人ではあるものの、以前あったはずの体の特徴がなかった。その後ジョンはこの現象について調べ、地球の複数の地域で時代が交錯しはじめたことが明らかになっていく。

解を得た彼は「時間を絶え間ない流れとする考え方は錯覚である」とディックに説明する。そして、特定の法則に従って区切った仕切りを「現在」、記述が大体正しい前のほうにある仕切りを「過去」、正確でない後の仕切りを「未来」と捉えるのが正しいと話す。

(図1)左がひと続きの時間感覚、右が仕切りによる時間感覚

仕切りの法則が変わる時

多少の時差はあるけれど、私たちがいる世界の時間感覚は大体同じだ。しかし物語の中では、イギリス:1966. 9.11、ハワイ:1966. 8月半ば(途中、認識が変わる)、カルフォルニア:1750年以前、ギリシャ:紀元前425年、ロシア:未来とはちゃめちゃになっている。

これはなぜか仕切りの法則が変わってしまったためだ。

(図2)上が同じ仕切りだった時の各都市、下が仕切りの位置がめちゃくちゃになった各都市

理由は太陽と赤外線に関するということだけ判明しているが、誰が、なんのために?明確には分からない。

仕切りがずれることで、1977年のハワイにいた人物が、飛行機などで他の都市に移動したとき、別の仕切りでその地点にいた場合は、年齢の違う同じ人間が2人存在することもあり得る事態になっている。

オリジナルと複製と

ディックとジョンは2度、別々に行動する場面がある。いまいるこの地点で、お互いオリジナルか複製か?ここが読んだ後に分からなくなってくる。

仕切りが戻るタイミングが来るとして、オリジナルが元の場所にいなければいけないのかどうかも判然としない。でもきっと“袋小路”ってことは消滅してしまうんだろうか。

読み終わって1週間、一人になる度に今日話したようなことをずっと考えていた。昨日お風呂に入っていたら、突然さっきの図が浮かんできたのでまとめてみた。

詳しい人がいたら解説を聞いてみたいな。いつかの答え合わせまで考えをあたためておこう。

(おまけ)もう一度読んでいると、どうやらシンクレアはディックに再会する少し前からうっすら分かっていたのでは…?と思い始める。うう、面白い!!